- 社労士とは、どんな資格?
- 何を仕事にしているの?
- 社労士になるメリットが知りたい
社会保険労務士は国家資格です。弁護士や税理士と比べると知名度が低いため、どんな職業かピンとこないですよね。
この記事では社労士の具体的な仕事内容と、資格を取るメリットをわかりやすく解説します。記事を読めば魅力がわかり、試験勉強のモチベーションが上がりますよ。
社労士は高度な専門性をもつ士業の一つ。「人」に関するエキスパートです。
士業
専門的な資格が必要な職業のことです。8つの士業に、戸籍謄本・住民票の写し等職務上請求書の使用が認められています。
8士業は、社労士・弁護士・司法書士・土地家屋調査士・弁理士・税理士・海事代理士・行政書士を指します。
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社労士とは社会保険と労務のスペシャリスト
社労士が何をする人か、わかりやすく言うと「社会保険」と「労務」、2つの分野の専門家です。
- 社会保険
- 健康保険や国民年金、厚生年金保険などの公的な保険
- 労務
- 働く人の労働環境の整備や給与計算、福利厚生業務など
社労士は社会保険や労務に関する法律や制度を理解して、企業や個人にルールを伝えることが仕事です。さらにルールに沿って、スムーズに制度や仕組みを利用できるようにアドバイスをします。
社会保険や労務に関する法律は改正が多く、複雑でわかりにくいです。社労士は難しい法令や制度について、わかりやすく情報を伝えたり、手続きをしたりします。
面倒な手続きを代わりに行うことに、社労士の存在意義があります。
社労士の資格は1968年に誕生
1968年に社会保険労務士法という法律が制定されました。社労士は法律の制定に伴い、誕生した国家資格です。
社労士には前身の民間資格が2つありました。
- 社会保険士
- 社会保険に関する手続きや相談・助言を担う
- 労務管理士
- 労働関係の法律に関する手続きと、労働者に関する助言・指導を行う
社会保険士と労務管理士が一つになって、社会保険労務士になったのです。
社労士の歴史は50年以上。当初は手続きが中心だった業務も、年々範囲が拡大しています。
- 2002年 社会保険労務士法人制度の創設
- 2005年 紛争解決手続代理業務が追加
- 2006年 特定社会保険労務士が誕生
- 2015年 補佐人業務の追加
社会保険労務士法人
個人ではなく法人を設立し、社労士の業務を行うこと
紛争解決手続代理業務
会社と労働者のトラブルを、特定社会保険労務士が当事者に代わって解決すること
特定社会保険労務士
社労士として登録しており、かつ紛争解決手続代理業務試験に合格して付記を受けた者
補佐人業務
社労士が補佐人として、弁護士と共に裁判に出頭し陳述すること
社労士試験の勉強は自己防衛
社労士試験の学習は、自分の権利を知ることに直結します。試験で出題される法律は、日常生活に役立つ知識ばかりです。
- 失業した場合:雇用保険法
- 年金を請求:国民年金法、厚生年金保険法
- 育児や介護:育児介護休業法、介護保険法
- 労働者の保護:労働基準法、労働安全衛生法
- 病気やケガ:健康保険法、国民健康保険法、労災保険法
社労士試験の勉強をすることで、人生設計に欠かせない制度や仕組みを理解できます。
学習の基本はこちら >> 最短合格できる勉強方法
社労士の3つのメリットとは
社労士の資格には3つのメリットがあります。
メリット1:独占業務がある
社労士は弁護士や税理士のように、社労士だけができる独占業務がある資格です。独占とは「社労士以外の人がお金をもらって仕事をしてはいけません」という意味です。
独占業務は法律で次のように定められています。
独占業務 | 業務内容 |
1号業務 | ①書類作成 ②提出代行 ③事務代理 ④紛争解決手続代理業務 |
2号業務 | ⑤帳簿書類作成 |
労働社会保険諸法令に基づく1号業務と2号業務を、有償で行うことができるのは社労士だけです。
独占業務の内容は以下になります。
- 書類作成
- 労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成。労働保険の年度更新手続など。
- 提出代行
- 労働社会保険諸法令に基づく申請書等を行政機関等に提出する。
- 事務代理
- 事業主から委任を受けて労働社会保険諸法令に基づく申請書等を行政機関等へ提出し、主張・陳述を行う。
- 紛争解決手続代理業務
- 会社と労働者が争いになったときに裁判ではなく、話し合いによって迅速に解決を図るためのあっせんを行う。特定社会保険労務士だけができる業務。
- 帳簿書類作成
- 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類を作成。就業規則や労働者名簿など。
あっせん(斡旋)
斡旋員(社労士)が労働者と使用者の間を取りなして、トラブルの解決を図ること
国に独占業務を認められていることが、大きなメリットです。
メリット2:働き方の選択肢が増える
社労士になると働き方の選択肢が広がります。
- 開業できる
- 独立しなくても資格を活かせる
開業できる
社労士になれば、資格を活かして開業できます。実務経験がなくても、事務指定講習を修了すれば開業社労士として登録ができるからです。
事務指定講習
厚生労働大臣が認定する講習。講習を修了すると「2年以上の実務経験あり」と扱ってもらえるため、登録が可能に。社労士試験の合格者に講習の案内が届きます。
社労士の場合、最低限必要なものを揃えれば、自宅を事務所にして開業できます。
- 印章
- 名刺
- パソコン
- プリンター
- 電話・FAX
開業のハードルが低いです。
開業社労士の魅力
開業をすると、働いた分が収入として返ってきます。独立の醍醐味です。企業と顧問契約を結べれば、安定した売上につながります。
以下は2023年10月末時点の登録状況です。開業社労士は全体の54.3%を占めています。
登録区分 | 会員数 |
開業 | 24,671人 |
勤務等 | 16,907人 |
法人の社員 | 3,829人 |
合計 | 45,407人 |
開業社労士は自らの選択で、専門的なキャリアを追求できます。
独占業務を武器に開業しやすい資格です。
開業社労士のデメリット
デメリットは主に4つあります。
- 維持費用がかかる
- 営業力がなければ仕事を得られない
- 軌道に乗るまでは収入が不安定
- 体調を崩すと、事業にも影響する
登録を維持するための費用(年間10万円程度)がかかります。
自分で顧客を獲得しなければなりません。付加価値はもちろんのこと、最低限の営業力が必要です。
複数の顧問先を獲得するまでは、収入が安定しません。また独立全般にいえることですが、体が資本です。
リターンが高い分、リスクもあるのが開業社労士の特徴です。
週末だけ開業社労士
最近、増えているのが、平日は企業で働いて、週末だけ開業社労士として活動する働き方です。もちろん、勤務先に、開業社労士として副業することを認めてもらわなければなりません。
でも、副業が認められれば、収入の心配をすることなく、社労士として開業することができます。
独立しなくても資格を活かせる
社労士は独立開業しなくても資格を活かせます。勤務として登録できるからです。
2023年10月末時点で「勤務等」で登録しているは社労士は16,907人です。全体の37.2%を占めます。
勤務社労士の主な就職先は次のとおりです。
- 日本年金機構
- 一般企業の人事・総務部門
- 社労士法人・社労士事務所
- 他士業の事務所(税理士など)
- 健康保険組合・全国健康保険協会
企業等に勤務し、社労士として業務を行います。
副業にも活かせる
副業が認められるなら、社労士としてさまざまな活動が可能になります。
- 執筆業
- 講演活動
- 受験指導
企業に所属し安定した収入を得ながら、法律家として活躍できることが勤務社労士のメリットです。
転職に役立つ
社労士の資格は転職にも役立ちます。
人事や総務の仕事は、社労士試験の出題範囲と重なる部分が多いです。実務経験がなくても、知識をすぐに活かせます。
- 賃金の計算:労働基準法
- 健康診断の実施:労働安全衛生法
- 入社・退職の手続:雇用保険法、労働者災害補償保険法、健康保険法、厚生年金保険法
社労士の資格が評価されると、希望する企業に転職できる可能性が高まります。
勤務社労士のデメリット
デメリットは主に3つです。
- 維持費用がかかる
- 仕事の幅が限定される
- 収入が増えにくい
登録を維持するための費用(年間5万円程度)がかかります。勤務先の業務命令に従わなければならないので、仕事を選ぶことができません。資格手当(月額1〜3万円程度)がもらえる場合がありますが、その他の給与は他の社員と変わらないことが多いです。
安定している代わりに、大きなリターンを得にくいのが勤務社労士のデメリットです。
メリット3:仕事の領域が広い
社労士は業務の範囲が広いです。
試験で出題される法律の数だけでも30以上。業務に関連する法令は100種類近くあります。どれだけ能力が高い人でも1人で、すべての分野を高いレベルでこなすことは無理です。
例えば、国民年金法や厚生年金保険法で学習する「年金」は、大きく3つのカテゴリーに分けられます。
- 老齢年金
- 年をとったときにもらえる
- 障害年金
- 障害が残ったときにもらえる
- 遺族年金
- 一家の生計の中心になっていた者が死亡した場合に遺族がもらえる
年金の中でも「障害年金」の相談・申請業務に特化した社労士がいるほどです。各地域で、この分野の専門家は「〇〇さん」という存在になれば、仕事には困りません。
活躍できるフィールドは広大です。ビジネスチャンスが多い資格といえます。
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社労士はどんな仕事
仕事は次の4つに分類できます。業務内容は開業社労士も勤務社労士も同じです。
分類 | 業務内容 |
1号業務 | 書類作成 提出代行 事務代理 紛争解決手続代理業務 |
2号業務 | 帳簿書類作成 |
3号業務 | 相談・指導 |
補佐人業務 | 裁判に出頭・陳述 |
1号業務と2号業務は独占業務。社労士だけが有償で行うことができます。
3号業務は社労士でなくても、自由に行えます。税理士や行政書士はもちろんのこと、資格をもっていない人でも相談・指導をして報酬を受け取ってもOKです。
補佐人業務は、社労士が補佐人として弁護士と共に裁判に関わることができる制度です。
社労士の仕事をわかりやすく表現すると以下の通り。
- 1号・2号業務:手続き
- 3号業務:コンサルティング
- 補佐人業務:裁判に関わる
なかでも3号業務は範囲が広いです。
3号業務はコンサルティング
3号業務は1号業務や2号業務、補佐人業務以外のすべてのサービスを指します。「3号業務=コンサルティング」は多種多様です。
下記は3号業務の一例になります。
- 創業支援
- 企業研修の講師
- 記事の執筆・監修
- 助成金の活用提案
- 個人向けの年金相談
- 社労士試験の受験指導
- 中小企業の海外進出をサポート
- 人事制度の設計や就業規則などのコンサルティング
社労士は法律で唯一認められた労務管理専門のコンサルタントです。
最近は、1号・2号業務をあまりやらずに、特定の3号業務に特化した専門家タイプが増えています。
社労士の知見を活かした、さまざまな3号業務が日々、生まれています。
書籍を出版する方法
専門的な知識を活かして、著作を出版している社労士は数多くいます。現在は、出版希望者からの売り込みというよりは、出版社からのアプローチが主流です。
ブログやTwitter・YouTubeなどのSNSで、専門分野を活かした情報を発信をしている方に声がかかりやすくなっています。
詳しく知りたい方は、Twitterのコミュニティ社労士のしゃべり場で行われた対談音声をお聴ください。↓
>> 日本法令 飯田取締役 × 全国社労士会連合会 大津常任理事 (出版について話は25分50秒頃から)
社労士になる3つの手順
社労士になるまでの流れは以下のとおりです。
- 試験に合格
- 2年以上の実務経験
- 登録・入会
STEP1:試験に合格
社労士になるには、次のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 試験に合格
- 弁護士となる資格を有する
試験は1年に1回、8月の第4日曜日に実施されます。合格率は6〜7%です。
試験日 | 8月の第4日曜日 |
出題形式 | マークシート |
試験時間 | 290分(4時間50分) |
学習科目 | 10科目 |
出題数 | 78問 |
合格ライン | 7割程度得点(毎年変動) |
合格率 | 6〜7% |
受験資格 | あり |
試験地 | 19都道府県 |
受験料 | 15,000円 |
合格発表日 | 10月上旬 |
2024年の試験は、8月25日(日)に実施される見込みです。
学習の基本はこちら >> 最短合格できる勉強方法
STEP2:2年以上の実務経験
試験に合格しただけでは、社労士になれません。実務経験が必要です。
認められる実務経験は、以下のどちらか1つです。
- 労働社会保険諸法令に関する2年以上の実務経験
- 2年以上の実務経験以上の経験を有すると認めるもの
実務経験がない場合
社労士になるための、労働社会保険諸法令に関する実務経験を積む機会がなくても大丈夫です。
全国社会保険労務士会連合会が主催する事務指定講習で実務を学べます。講習を修了すれば実務経験2年と同等と認められ、社労士として登録が可能になります。
2023年の事務指定講習の概要は以下の通りです。
項目 | 詳細 |
申込期間 | 2022年11月11日〜2022年12月1日まで |
受講料 | 77,000円(税込) |
講習内容 | ①通信指導(4ヶ月間) ②eラーニング講習または面接指導(4日間) |
修了要件 | ①通信指導は研修課題の提出を期間内に完了すること ②eラーニング講習または面接指導はすべての講義を受講完了すること |
講習科目 | 労働基準法および労働安全衛生法 労働者災害補償保険法 雇用保険法 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 健康保険法 厚生年金保険法 国民年金法 年金裁定請求等の手続 |
事務指定講習に申し込めるのは、1年に1回です。講習を修了するには「4ヶ月間の通信教育」と「講義」のカリキュラムを終える必要があります。
事務指定講習は、試験合格年度の次年度以降に申し込んでもOKです。修了証に有効期限はありません。
事務指定講習を修了しておけば、好きなタイミングで社労士になれます。
事務指定講習の申し込み・問い合わせ先
全国社会保険労務士会連合会(研修・社会貢献課 研修係)
〒103-8346 東京都中央区日本橋本石町3-2-12 社会保険労務士会館6階
TEL 03-6225-4870
※教材のみの購入はできません。
STEP3:入会・登録
2年以上の実務経験を満たすと、社労士になる条件が整います。社労士と名乗るためには、登録と入会の手続きが必要です。
- 全国社会保険労務士会連合会に名簿登録する
- 都道府県社会保険労務士会(社労士会)に入会する
登録区分は次の4つです。
- 開業
- 勤務
- その他
- 社会保険労務士法人の社員
「その他登録」の場合、社労士法に規定された業務を行うことはできません。ご注意ください。
登録や入会にかかる費用の目安は下記の通りです。
費用項目 | 金額 |
登録 | 登録免許税3万円(収入印紙) 登録手数料3万円 |
社労士会に入会 | 開業:入会金5万円・年会費9万6千円 勤務等:入会金3万円・年会費4万2千円 |
東京都で開業登録する場合、初年度に登録費・入会金・年会費で合計20万6千円かかります。次年度以降は年会費9万6千円のみです。
入会金や年会費は、入会する都道府県の社労士会ごとに異なります。
登録するメリット
登録が完了して、はじめて社会保険労務士と名乗ることができます。(試験に合格しただけでは、名乗ることはできません)
社労士であることを名刺やブログに書いたりすることができます。社会的信用が生まれることが、登録することの一番のメリットです。
社労士に関するよくある質問
社労士に関するよくある質問をまとめました。クリックすると各質問にジャンプできます。
社労士になっても意味ないですか?
目指す目的によります。
少なくとも、社労士になればラクに稼げると思っている方にとっては、意味のない資格かもしれません。
社労士になっても意味がない感じるケース | |
会社員 | ・人事部や総務部に配属されないと資格を活かすことが難しい ・大幅に年収が増えるわけではない(資格手当の相場は月に1〜3万円) |
転職 | ・年齢が影響する ・エリアによっては求人がない ・実務経験が重視される |
開業 | ・専門分野にもよるが、社労士が足りない状況ではない ・顧客から選んでもらえないければ仕事がない |
でも、あなたが社労士になって、次のことを実現したいと思っているのなら、最適な資格です。
- 会社員
- ・会社をもっと良くしていきたい
・会社からの要求が、正当化か不当かを判断できるようになりたい
・不当な解雇にビクビクしたくない
・法律の知識を活かして、労働者としての自分や同僚の身を守りたい - 開業
- ・少額の投資でリスクなく開業したい
・自分の裁量で、自由に働きたい
・生涯現役で社会に貢献したい
・自分の興味ある分野を極めたい
・バリバリ働いて稼ぎたい
資格を取得することで、もっともっと成長したいというポジティブな方なら大丈夫。意味がないと感じることはありませんよ。
社労士になって、経済的にも成功している方は山ほどいます。自分次第です。
社労士になるまでにかかる期間は?
実務経験がなく、ゼロから始める場合は以下の数式が当てはまります。
- 社労士になるまでの期間 = 1年 × 受験回数 + 1年
社労士試験は1年に1回です。また、実務経験がなければ、事務指定講習という研修を受けなければなりません。
試験に合格してから、研修や登録手続きが完了するまでに、さらに1年程度かかると考えておきましょう。
試験に合格するまでに約3年。登録が完了するまでに約1年。トータルで約4年かかりました。
今から資格を取って働けますか?
残念ながら、社労士になったからといって、必ず働けるとは断言できません。転職の場合、年齢や実務経験の有無が関係するからです。
しかし、資格を取ることで、今勤めている会社の人事部に異動を命じられ、実務経験を積めるかもしれません。そうなると、転職だけでなく、開業の道も拓けてきます。
「社労士だから老後も安泰」というわけにはいきませんが、人生の選択肢が増えることだけは間違いありません。
自宅を事務所にして、小予算で開業できる稀有な資格です。
今は世代交代のタイミング
現在の社労士業界は、ちょうど世代交代のタイミングです。60代後半や70代前半の方々が、つぎつぎと引退されているからです。
手続きの電子申請が進んでいます。従来のやり方を捨てて、使いこなせるようになるのは大変です。
また、SNSを使った情報発信も求められるようになりました。ソーシャルメディアを使い慣れている若い方のほうが有利です。業界の勢力図が変わってきています。
40代の資格取得では遅いですか?
40代で社労士試験に合格しても遅くありません。標準です。
2023年社労士試験の合格者の年齢分布でもっとも多かったのが45〜49歳で15.3%、続いて40〜44歳で13.9%でした。合格者の29.2%が40代です。
また、2023年版社会保険労務士白書によると、登録している社労士の年齢分布でも40代が2番目に多く、26.0%を占めています。最多は50代で29.7%です。
社労士の年齢分布 | 割合 |
20〜29歳 | 0.4% |
30〜39歳 | 6.7% |
40〜49歳 | 26.0% |
50〜59歳 | 29.7% |
60〜69歳 | 21.8% |
70〜79歳 | 11.8% |
80〜89歳 | 3.2% |
90〜99歳 | 0.4% |
合計 | 100% |
さらに同白書には、社労士の平均年齢は56.04歳と記載されています。40代でも、まだまだ若い業界です。
社労士の将来性は?
「社労士はオワコン」などといわれることがありますが、逆です。ニーズは高まります。企業や働く人の環境が複雑になっているからです。
過去にも、社労士が活躍した出来事がありました。
2007年に明らかになった、旧社会保険庁の年金記録問題のときに「社労士=年金」というイメージが定着。2008年のリーマンショック、2020年〜のコロナ禍では、雇用調整助成金がクローズアップされ、社労士の存在感が増しました。
社会が動くと人の問題が増えることから、現在も課題は山積しています。
- AI・デジタル化
- テレワーク拡大による規程の見直し
- 労働・社会保険に関する法令の頻繁な改正
- 不況による退職勧奨やリストラなどのトラブル
法律や制度が変わるたびに、企業は対応を迫られます。最近では社労士が、顧問先企業の社外取締役になるケースも多いです。
多様化する社会情勢を鑑みて、社労士が活躍する場が広がっていくことは間違いありません。
何を自分の強みにしたらいいですか?
前職でのキャリア・経験のなかに強みがあります。
たとえば食品業界の卸売業に長年いたなら、その業界特有の労働慣習をよく知っていますよね。その業界に特化した労務管理のコンサルタントになれば、専門性を発揮できるので、競争とは無縁になれるのです。
一般的な社労士として、手続きやコンサルで差別化を図るは難しいです。しかし、前の職業を含めて考えれば、可能性は一気に広がります。
ご自身の詳しい分野を深掘りするのが、成功への近道です。
社労士になると年収は上がりますか?
企業に勤務している社労士の場合、資格手当が支給されることがあります。手当の金額は企業によって異なりますが、月額1〜3万円が相場です。また、専門的な知識を有していると会社に認められれば、昇進や昇格につながる可能性もあります。
開業社労士の場合は、仕事への取り組み方しだいで収入は青天井です。
私が以前勤めていた中堅クラスの卸売会社の資格手当が、月額2万円でした。
開業社労士の年収は?
個人で開業している社労士の売上高で、もっとも多いのは「300万円未満」。次に多いのは「1,000万円以上5,000万円未満」です。
開業社労士事務所の売上高(経費控除前) | 割合 |
300万円未満 | 29.1% |
300〜500万円未満 | 12.8% |
500〜700万円未満(中央値) | 9.7% |
700〜1,000万円未満 | 11.9% |
1,000〜5,000万円未満 | 27.6% |
5,000万円〜1億円未満 | 5.7% |
1億円以上 | 3.3% |
合計 | 100% |
売上高の中央値は「500万円以上700万円未満」です。中央値程度の売上高が、開業社労士として事務所を営む上での目安になります。
顧問契約料の相場は、社員10人程度の会社と一般的な手続きについて契約した場合で月額2万円程度です。顧問契約を多く獲得できれば、安定した売上につながります。
開業社労士は自由です。考え方や仕事の仕方しだいで収入は変えられます。
未経験からの起業しても大丈夫?
業務経験がないまま開業し、成功している社労士は大勢います。仕事を獲得する方法はさまざまです。
- 社労士同士のつながり
- 他士業とのコネクション
- 所属する社労士会からの受託業務
社労士会からの受託業務は、行政機関で年金や労働保険の相談員などを行うことです。
開業当初に行政関連の仕事を請け負うことができれば、経験を積めます。協力し合える同業者や他士業、お客様となる企業と出会える可能性も。
社労士は仕事の幅が広いので、同業者間のライバル意識が薄いです。
積極的に交流して人脈が広がると、仕事も増えていきます。
社労士に必要なスキルは?
必要なスキルはたくさんありますが、不可欠なのがコミュニケーション力です。
社労士は「人」に関する専門家です。人の問題を解決するためには、次の3つのスキルが欠かせません。
- 相手に共感できる
- 話をしっかり聞く
- わかりやすく話す
コミュニケーション力は、士業間の仲間作りにも役立ちます。
相手の立場に立って考える姿勢が大事です。
開業して大変なことは?
開業社労士として仕事をしていると「つらい・大変なこと」もあります。以下は一例です。
- 法律の不備で顧客を守れない
- 顧問先で業務上の横領などの懲戒処分をする
- 会社の業績が悪く退職勧奨や解雇などの説明に立ち会う
開業自体は簡単です。ただし、成功するかは別問題。
開業して成功するには、試験勉強以上の努力が必要です。
社労士の副業で気をつけることは?
社労士として副業する場合、限られた時間で仕事をすることになります。
納期がタイトな案件は注意してください。給与計算は間に合わないと、大問題になってしまいます。
副業であれ、プロとして仕事をすることに変わりはありません。
お客様に状況を説明し、理解いただいた上で、経験を積んでいきましょう。
社労士と相乗効果のある資格は?
社労士の次に目指すと有益な資格を7つご紹介。相乗効果が期待できます。
- 行政書士
- 役所へ提出する書類の作成や提出代行できる業務が増える。幅広い法律の知識により相談の質が上がる。
- DCプランナー
- 「確定拠出年金」などの企業年金制度全般の専門的な知識が習得できる。難しい企業年金・退職金制度の改定が得意分野になり、希少価値が上がる。
- 中小企業診断士
- 企業経営や組織を理解できる。会社に対して、効果の高いコンサルティングが可能に。
- 年金アドバイザー
- 年金給付の実務に関する知識を学ぶ。社労士であればスムーズに資格を取得できる。
- 産業カウンセラー
- 「聞く」技術を学べる。組織風土の改善やカウンセリング、メンタルヘルスについて体系立てて理解できる。
- キャリアコンサルタント
- 雇用する側とされる側の橋渡し役。人の話を聞く技術を身につけられる。3号業務にも有益。
- ファイナンシャルプランナー
- 税金やお金全般の知識を習得できる。お金に関する相談の幅が広がる。
社労士とかけ合わせることで、仕事の範囲が広がり、質も上がります。
やる気を保つコツはこちら >> モチベーションを維持する方法7選
社労士のメリットと魅力を知って学習のモチベーションを上げよう
社労士試験の合格率は6~7%です。資格を取るのが難しい分、法律で社会的な地位が保証されています。
資格を取るメリットは以下のとおりです。
- 独占業務がある
- 働き方の選択肢が増える
- 仕事の領域が広い
開業時や勤務先ではもちろんのこと、副業や転職の際にも資格が役立ちます。
「働き方改革」「定年延長」などの社会の変化により、企業が存続するためのハードルは高くなります。労働社会保険諸法令のルールを知り、「人」のトラブルを解決できる社労士の需要はなくなりません。
試験勉強のやる気が出ないときは、資格を取るメリットや社労士の魅力を再認識してみましょう。
学習のモチベーションが上がり、合格の可能性が高まります。
合格する可能性が確実に上がる!