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- 社労士試験の選択式と択一式とは?
- 違いはあるの?
- どうすれば択一式と選択式を攻略できる?
社会保険労務士試験は2つあります。択一式試験と選択式試験です。問題の形式が異なるため、合格するには個別の対策が欠かせません。
この記事では、択一式と選択式を攻略するための勉強方法を解説。記事を読めば問題を解くコツがつかめ、社労士試験に最短で合格できます。
択一式とは5つの選択肢の中から正解の1肢を選ぶ5肢択一。選択式とは問題文の中にある5つの空欄に、キーワードを入れる穴埋め問題。どちらも出題されるポイントは同じです。
基本的な学習方法は択一式も選択式も、過去に出題された問題(過去問)を繰り返し解くことです。
合格する可能性が確実に上がる!
択一式と選択式の違い
択一式と選択式の違いは以下のとおりです。
択一式 | 選択式 | |
出題形式 | 5肢択一 | 穴埋め問題 |
試験時間 | 210分 | 80分 |
問題数 | 70問 | 8問(40空欄) |
科目数 | 7科目 | 8科目 |
得点 | 70点満点 | 40点満点 |
合格に必要 な総得点 | 44点前後 (毎年変動) | 24点前後 (毎年変動) |
最低限必要 な得点(原則) | 各科目4点以上 (10点満点中) | 各科目3点以上 (5点満点中) |
詳しくは後述しますが、択一式はスピードが求められる試験です。選択式は総合的な知識を駆使した判断力が必要になります。
択一式のネックは、総得点で合格基準点を超えられないこと。選択式は、科目ごとに3点を取れずに足切り=不合格になってしまうことです。
社労士試験の択一式と選択式に共通する3つのポイント
社労士試験における、択一式と選択式の共通ポイントは以下の3つになります。
- 理解する
- 反復する(繰り返し)
- 苦手科目をつくらない
理解と反復
社労士試験は「記憶しているか or いないか」の勝負です。しかし、出題範囲が広いため、丸暗記で乗り切ろうとするのは無理があります。大量に記憶するには、理解と反復が欠かせません。
基本を理解していれば、試験で難しい問題が出題されても応用が効きます。理解した上で学習を繰り返すと、次の効果が得られます。
- 正確に記憶できる
- 知識が定着する
- すぐに思い出せる
記憶は「理解」と「反復」がセットです。
社労士試験で出題される内容を理解するためには、以下の学習が有益です。
- テキストを読む
- 過去問を解く
- 問題集の解説を読む
資格スクールを活用しているなら、次の2つも理解に役立ちます。
- 講義を試聴する
- わからない点を質問する
資格スクールは理解を助けてくれる存在です。
社労士試験の学習を効率よく進めていくには、理解と反復が不可欠です。
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苦手科目をつくらない
もう一つ、合格に欠かせない要素があります。苦手科目をつくらないことです。
社労士試験の学習範囲は全10科目。合格するには択一式と選択式、2つ試験の合格基準点をそれぞれクリアする必要があります。
合格基準点
合格するために最低限必要な点数のことです。2023年試験の合格基準点は以下のように発表されました。
- 選択式試験:総得点26点以上かつ各科目3点以上
- 択一式試験:総得点45点以上かつ各科目4点以上
詳細はこちら >> 合格基準を具体例付きで解説
社労士試験は1科目でも合格基準点を下回ると不合格です。苦手科目をつくらないように、全科目をバランスよく学習しなければなりません。
学習方法は、択一式も選択式も基本的には同じです。過去問を繰り返し解くことです。
ただし、択一式と選択式では問題の形式が異なるため、個別の対策が必要になります。
社労士試験の択一式対策とは
択一式では以下のような形式の問題が70問、出題されます。
択一式試験を攻略するための手順は次の通りです。
択一式の特徴を知る
社労士試験を攻略するには択一式とは、どんな試験かを知る必要があります。以下は概要です。
択一式 | 内容 |
出題形式 | 5肢択一 |
試験時間 | 210分 |
試験時刻 (2023年) | 13:20〜16:50 |
科目数 | 7科目 |
問題数 | 70問 |
配点 | 1問1点(70点満点) |
合格基準点 (原則) | 総得点の基準点以上 かつ各科目4点以上 |
択一式は試験時間が3時間30分(210分)と長丁場。全70問なので、1問当たり3分以内に解き終えなければなりません。
社労士試験の合格ラインは、受験者の得点によって毎年変動します。以下は択一式の総得点の合格基準点です。(過去10年間)
試験年 | 総得点の合格基準点 |
2014年 | 45点以上 |
2015年 | 45点以上 |
2016年 | 42点以上 |
2017年 | 45点以上 |
2018年 | 45点以上 |
2019年 | 43点以上 |
2020年 | 44点以上 |
2021年 | 45点以上 |
2022年 | 44点以上 |
2022年 | 45点以上 |
択一式では総得点で45点を取れれば、合格できています。
社労士試験では特定の科目について受験者の得点が低いときに、科目ごとの合格基準点が下がるケース(救済措置)があります。しかし、択一式で過去10年間に救済措置が行われたのは3年だけ。択一式では科目ごとの救済措置は期待できません。
試験年 | 救済措置 | 救済科目 |
---|---|---|
2014年 | あり | 労一+社一は3点可 |
2015年 | なし | – |
2016年 | あり | 労一+社一、 厚年法、国年法は 3点可 |
2017年 | あり | 厚年法は3点可 |
2018年 | なし | – |
2019年 | なし | – |
2020年 | なし | – |
2021年 | なし | – |
2022年 | なし | – |
2023年 | なし | – |
社労士試験に合格するには択一式の全科目で、4点以上の得点を死守する必要があります。
択一式は総得点がネックになる場合が多いです。
択一式の問題は4パターン
社労士試験の択一式で出題される問題のパターンは以下の4つです。
- 正しいもの選び
- 「次の記述のうち、正しいものはどれか。」
- 誤っているもの選び
- 「次の記述のうち、誤っているものはどれか。」
- 個数問題
- 「次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。」
「次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。」 - 組み合わせ問題
- 「次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。」
「次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。」
パターンによって、それぞれ問題の難易度が違います。
- (難しい) 個数問題 > 正しいもの選び > 誤っているもの選び > 組合せ問題 (やさしい)
択一式では個数問題がもっとも難しく、組み合わせ問題がいちばん得点しやすい傾向です。
以下は個数問題です。↓
続いて、組合せ問題になります。↓
2023年の択一式の出題数は以下の通りでした。↓
問題パターン | 出題数 |
正しいもの選び | 37問 |
誤っているもの選び | 23問 |
組み合わせ問題 | 5問 |
個数問題 | 4問 |
その他 | 1問 |
合計 | 70問 |
択一式の「組み合わせ」はサービス問題です。取りこぼさないようにしましょう。
学習のポイントは基本重視
択一式の学習のポイントは、マニアックな問題を捨てることです。過去の社労士試験で1度しか出題されていないような過去問はスルーします。
マニアックな問題とは、出題者が受験者を惑わすために紛れ込ませた選択肢のこと。再度、出題される可能性は低いです。
社労士試験は7割が基本事項からの出題です。基本事項に関する問題を確実に得点できれば合格できます。
択一式の過去問演習の際はマニアックな問題には触れずに、誰でも正解できるような基本的な問題を繰り返し解きましょう。
奇問難問は他の受験生も解けないので、合否に影響しません。
社労士試験の基本事項
基本事項とは、各科目で毎年のように出題されているテーマです。過去の出題実績は、テキストに一覧表などで掲載されています。
択一式の1問1答形式の過去問題集は項目ごとにまとまっています。どのテーマが何回出題されているかがわかるため便利です。
マニアックな問題か判断する方法
以下3つの基準を目安にして、マニアックな問題かどうかを判断します。
- テキストに書かれていない内容
- 直近10年間で同じ内容の出題がない
- 問題集で「重要度C(低い)」「発展問題」などと評価されている
当てはまる基準が多いほど、優先度の低い問題です。
学習の基本はこちら >> 最短合格できる勉強方法
6つの攻略法を実践する
社労士試験の択一式を攻略するために、以下の6つの対策を実践しましょう。クリックすると各項目にジャンプします。
過去問の演習を繰り返す
択一式をマスターするために、過去問を繰り返し解いてください。過去問の反復には以下の効果があります。
- 理解が深まる
- 正確に速く解けるようになる
- 社労士試験の重要なポイントがわかる
過去問を繰り返し解いた回数が多いほど、択一式の実力がアップします。択一式の実力が上がると、選択式の問題もある程度は解けるようになります。過去問を解けば解くほど、合格に近づくわけです。
択一式の1問1答形式の問題集は科目ごと、項目ごとに過去問がまとめられているのでおすすめ。テキストの章や講義の単元を終えるたびに、学習した範囲に該当する過去問を解くことができるからです。効率よく復習ができます。
選択式で出題された箇所が択一式で出題されることがあります。選択式の過去問も択一式対策として押さえてください。
択一式の過去問を解いたあとは問題集の解説を読むだけでなく、テキストも確認しましょう。社労士試験は過去問の周辺知識が問われるからです。
以下は労働基準法第3条について問われた実際の試験問題です。
労働基準法第3条は、使用者は、労働者の国籍、信条、性別又は社会的身分を理由として、労働条件について差別的取扱をすることを禁じている。
2017年度 社労士試験 択一式 労働基準法 問5ア
労働基準法第3条に定める「国籍」を理由とする差別の禁止は、主として日本人労働者と日本国籍をもたない外国人労働者との取扱いに関するものであり、そこには無国籍者や二重国籍者も含まれる。
2020年度 社労士試験 択一式 労働基準法 問4A
どちらも同じ労働基準法第3条をテーマにした問題ですが、問われている内容が異なります。
問題集の解説を読むだけだと、過去問の周辺知識が問われた場合に対応できません。択一式の過去問演習の際は、問題集とテキストを行き来する習慣をつけましょう。過去問を解くたびに周辺知識を吸収できます。
時間をかけずに問題集とテキストを往復できるように、2冊をリンクさせるのがおすすめです。
問題集とテキストをリンクさせておくと、直前期の8月に効率よく復習できます。
問題集とテキストをリンクさせる方法
次の方法を使えば、問題集とテキストをストレスなく行き来できるようになります。
- 問題集に記入
- ・問題集に、テキストのページ番号を書く(下の画像①:P913)
・テキストを開いて過去問の内容が書かれている箇所を探す
・問題集の解説ページに、テキストのページ番号を記入する - テキストに記入
- ・テキストに、問題集の問題番号を書く(下の画像②:315)
・テキストの過去問の内容が書かれている箇所に、問題集の問題番号を記載する
過去問題集の選び方
過去問題集は、予備校を活用する場合、講座の教材に含まれているので購入する必要はありません。
独学の場合は、書店やAmazon、楽天ブックスなどで購入します。実際に手に取ってみて、あなたに合う教材を選んでください。一問一答形式で解説文が詳しいほうが、理解しやすいです。
どれを選んだらいいかわからない場合は、TAC出版の過去問題集(Amazon)がおすすめです。もっともスタンダードな本で毎年出版されているので、長年受験生に支持されています。
問題演習の正誤記録を付ける
社労士試験の択一式の問題演習をしたあとは、正誤記録を付けましょう。記録を付けるメリットは次の3つです。
- 弱点を把握・克服できる
- 計画的に復習できる
- 自信になる
正誤記録を見て間違えた問題を復習することで、弱点を克服できます。インターバルを意識して復習すると、記憶の維持にもつながります。択一式の正誤記録は以下のように付けるのがおすすめです。
- 過去問を解いた日付
- 〇:理解した上で正解
- △:なんとなく正解
- ×:不正解
択一式の問題集のページのスミ、または別紙に日付と正誤を記録します。
労働基準法 問題番号 | 1回目日付 | 1回目正誤 | 備考 | 2回目日付 | 2回目正誤 | 備考 | 3回目日付 | 3回目正誤 | 備考 |
1 | 9/5 | 〇 | 9/6 | 〇 | 10/4 | △ | |||
2 | 9/5 | △ | 9/6 | 〇 | 10/4 | △ | |||
3 | 9/5 | × | 凡ミス | 9/6 | 〇 | 10/4 | × | 忘れていた | |
4 | 9/7 | △ | 9/8 | 〇 | 10/7 | × | 理解不足 | ||
5 | 9/7 | △ | 9/8 | × | 読み違い | 10/7 | △ |
3回連続で「〇」になった問題はひとまず除外します。「△」や「×」の問題に注力し、苦手な問題を減らしていきます。
社労士試験は、過去問の〇×判定をするだけでは合格できません。正誤記録を活用しながら、過去問を理解できるまでやる抜くことが重要です。
正誤記録を振り返ると、自分の成長を実感できます。
効果的な復習のタイミングはこちら >> エビングハウスの忘却曲線
基本事項を完璧に理解する
社労士試験では基本事項が何度も出題されています。基本事項はこれからも択一式で出題されるため、問題文を変えられても解けるように、完璧に理解してください。
基本事項を理解するとは以下を意味します。
- 選択肢ごとに正誤の判断ができる
- 選択肢ごとに問われているポイントがわかる
- 誤っている選択肢を正しく修正できる
- 問われているポイントに関連する知識まで知っている
特に基本事項に関しては、周辺知識まで知っていることが必須です。答えの選択肢を覚えるだけでは、合格できません。理解することが重要です。
目的条文は社労士試験における基本事項です。以下のように目的条文だけが択一式で問われることがあります。
労基法や雇用法、厚年法といった主要科目はもちろんのこと、労一や社一で出題される法律の目的条文も押さえてください。
目的条文は選択式試験でもよく狙われます。
目的条文
各法律の第1条に定められた条文です。法律の原則や趣旨、どんな目的で作られたのかが書かれています。社労士試験では頻出事項であり、最重要ポイントです。
問題演習はタイムを測る
択一式の過去問を演習する際はタイムを測りましょう。択一式は「時間との戦い」だからです。
択一式の問題文は長文化しています。2023年の試験問題は60ページありました。択一式は全70問、350肢の正誤を210分以内に判断しなければなりません。
社労士試験の本番で1つの選択肢にかけられる時間は36秒。見直しやマークシートに記入する時間を考えると、1肢を30秒以内で判定したいところです。
本試験で時間内にすべての問題を解き終えるためには、普段からスピードを意識しておく必要があります。択一式の過去問演習の際は、タイムを測るようにしましょう。
一通りインプットが終わった段階で、問題演習のタイムを測り始めるのがおすすめ。4月ごろがベストです。
制限時間を設けて繰り返し問題演習をすると、知識をスピーディーに引き出せるようになります。
1問1答形式の過去問を解く際は、短めの制限時間を設定しましょう。1問当たり25秒を推奨します。
模擬試験を受ける
模擬試験は必ず受けてください。社労士試験の択一式はボリュームがあるため、解き進めるには訓練が必要だからです。模試の目的は3つです。
- 良質な予想問題を入手する
- 210分(3時間30分)を体感する
- 本試験と同じ5肢択一の出題に慣れる
模試を受けると、本試験で必要な「集中力」「持久力」「ペース配分」がわかります。復習をすることで、法改正と白書対策にもなります。
模試を受けずに社労士試験に挑むのは、42.195kmを走ったことがない人が制限時間があるフルマラソンに挑むようなもの。厳しい結果になります。
模試にはメリットしかありません。合格したいなら、模試は必ず受験するようにしましょう。
模擬試験は2タイプ
社労士試験の模試は2種類あります。
- 会場受験タイプ:資格の学校TAC、資格の大原、LEC東京リーガルマインド(すべて公式サイト)
- 自宅受験タイプ:市販の書籍、通信講座が専門の資格スクール
本番に近い緊張感を味わえる、会場受験タイプの模試がおすすめです。
詳細はこちら >> 得点につながる模試の活用法
通信講座専門の資格スクール
社労士試験の講座を提供している、通信教育が専門の主な資格スクールは以下の5社です。
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3つのテクニックを習得する
択一式に有効な3つのテクニックを身につけましょう。
長文対策
社労士試験の択一式で長文の選択肢が出題された場合は、次の順番で読んでいきます。
- (カッコ)を飛ばして読む
- 数字や専門用語をチェックする
- 問題文に区切り線を入れる
まず、全体を把握するために流し読みをします。文中に(カッコ)が多い場合は、いったん飛ばしてください。
次に数字や専門用語などのわかりやすいポイントで誤りがないかチェックします。
最後に文章を読点(、)や句点(。)ごとに区切り線(/)を入れて、区間ごとに確認していきましょう。
択一式の長文は全体の主旨をつかんだあとに分割して、それぞれ細部をチェックしていくと正誤を判断しやすいです。
選択肢の絞り込み
社労士試験の択一式では見たことのない選択肢が必ず出題されます。正解を導き出すために、選択肢ひとつずつに「〇」「×」「△」を書いて絞り込みます。
- 〇:正しい内容
- ×:明らかに誤り
- △:判断が難しい
最後に△の選択肢が複数残った場合は、知識を総動員して「〇のような」または「×のような」選択肢を選びましょう。
本試験では合格者でも、すべての選択肢の正誤を判定できているわけではありません。できるだけ候補を減らした上で、もっとも「〇・×のような」と考えられる選択肢を選ぶのかが鍵です。
「〇・×のような」を判断をするのにいちばん役に立つのが基本事項の知識です。基礎知識は学習のベースとなるため、困ったときに役立ちます。
模試や練習問題を使って、択一式の絞り込み練習をしましょう。
キーワードやフレーズで判断する
社労士試験の択一式の選択肢にはポイントとなるキーワードやフレーズが含まれています。ポイントさえ見つけられれば、正解できる確率は上がります。
択一式で頻繁にポイントとなるキーワードは次のとおり。
- 数字
- 例:割合(4分の3)、金額(400円)、人数(100人)、年数(5年)、年齢(2歳)
- 超・未満
- 例:3か月を超える、40万円未満
- 継続・通算
- 例:継続して3日、通算して3日
- 以上・以内・以下
- 例:2分の1以上、20日以内、10年以下
- 「日」や「月」を表す単位
- 例:前日、翌日、前月、翌月、翌日
- かつ・又は
- 遅滞なく・速やかに
- 同意・認可
以下は、択一式での実際に出題された問題です。
択一式では次のような極端なフレーズも正誤ポイントとなります。誤っている内容が書かれた選択肢に使われることが多いです。
- 最も
- 必ず
- 常に
- すべて
- 誰でも
- 全面的に
- 一切ない
- いつでも
- いかなる
- のみ・限り
以下は実際の出題例になります。
問題文の中に特徴的なキーワードやフレーズを見かけたら、必ず前後の文脈をチェックしましょう。即座に正誤を判定できる場合があるため、時短につながります。
択一式は早く解き終えて、どれだけ「難問」や「見直し」に時間を使えるかが勝負です。
覚え方はこちら >> すぐに実践できる暗記方法10選
社労士試験の選択式対策とは
社労士試験の選択式の概要は以下のとおりです。
選択式 | 内容 |
出題形式 | 穴埋め問題 |
試験時間 | 80分 |
試験時刻 (2023年) | 10:30〜11:50 |
科目数 | 8科目 |
問題数 | 8問×5空欄=40空欄 |
配点 | 1空欄×1点(40点満点) |
合格基準点 (原則) | 総得点の基準点以上 かつ各科目3点以上 |
選択式とは5つの空欄に入る適切な語句を、20の選択肢の中から探す形式です。以下のような問題が8科目で8問、出題されます。
選択式の試験時間は80分。1問当たり10分以内に解けばいいため、択一式と比べると時間に余裕があります。
ただし選択式は、択一式よりも「知っているか or いないか」の要素が強い試験です。毎年難問が出題されるため、受験者の多くが科目ごとの合格基準点を下回ってしまいます。社労士試験の難易度を上げている最大の要因が、選択式の科目ごとの合格基準点なのです。
選択式は基準点の引き下げ(救済措置)が頻繁に行われています。以下は過去10年間の選択式の合格基準点と救済措置です。
試験年度 | 合格基準点 | 救済措置 |
---|---|---|
2014年 | 総得点 26点以上 各科目 3点以上 | 雇用・健保は2点可 |
2015年 | 総得点 21点以上 各科目 3点以上 | 労一・社一・健保・厚年は2点可 |
2016年 | 総得点 23点以上 各科目 3点以上 | 労一・健保は2点可 |
2017年 | 総得点 24点以上 各科目 3点以上 | 雇用・健保は2点可 |
2018年 | 総得点 23点以上 各科目 3点以上 | 社一・国年は2点可 |
2019年 | 総得点 26点以上 各科目 3点以上 | 社一は2点可 |
2020年 | 総得点 25点以上 各科目 3点以上 | 労一・社一・健保は2点可 |
2021年 | 総得点 24点以上 各科目 3点以上 | 労一は1点可 国年は2点可 |
2022年 | 総得点 27点以上 各科目 3点以上 | なし |
2023年 | 総得点 26点以上 各科目 3点以上 | なし |
選択式試験では毎年救済措置が実施されていました。しかし、2022年と2023年は救済措置がありませんでした。
どの科目で基準点の引き下げが行われるかは合格発表まで不明。最初から救済措置を当てにすることはできません。
選択式は、すべての科目で3点以上を確保することが最大のミッションです。
選択式の問題は4タイプ
社労士試験の選択式の問題は大きく分けて4タイプです。
問題のタイプを意識して選択式の過去問を解くと、出題の傾向がわかるようになります。
法律・施行令・施行規則タイプ
選択式の「法律・施行令・施行規則タイプ」の問題は、法令の条文ベースに作られています。もっともスタンダードなタイプです。目的条文などの主要な条文が繰り返し出題されています。
以下は条文からの出題です。↓
「法律・施行令・施行規則タイプ」は得点したい問題です。
法律・施行令・施行規則
「〜法」というものを法律といいます。法律に関連して内閣が定める規定が施行令(政令)です。法律や施行令に合わせて各省庁の大臣が定められるものを施行規則(省令)といいます。
- 法律:厚生年金保険法 → 国会で定める
- 政令:厚生年金保険法施行令 → 内閣が定める
- 省令:厚生年金保険法施行規則 → 厚生労働大臣が定める
「法律」「施行令」「施行規則」の3つをまとめて法令と呼びます。
通達・行政手引・判例タイプ
選択式の「通達・行政手引・判例タイプ」は行政機関が出す通達やマニュアル、裁判所が示した判断をベースに作れた問題。労基法や労災法、雇用法などの労働法科目での出題が多いです。
以下は最高裁判所の判例からの出題になります。↓
続いて行政手引きからの出題です。↓
通達・行政手引・判例タイプの問題は条文の解釈が問われるため、文章を読み解く力が求めれます。
通達・行政手引・判例
- 通達
- 行政機関が出す法令の解釈や運用、執行方針を指します。
- 行政手引
- 行政機関が出すマニュアル。実務上の扱いを定めたものです。
- 判例
- 裁判所が事件に対して示した判断。社労士試験では最高裁判所における判例が出題されます。
労働法科目と社会保険法科目
社労士試験で出題される科目は2つに大別できます。
- 労働法科目
- 労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律、労務管理その他労働に関する一般常識
- 社会保険法科目
- 健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法、社会保険に関する一般常識
白書・統計タイプ
選択式では「労務管理その他労働に関する一般常識」や「社会保険に関する一般常識」の2科目で、白書・統計タイプの問題が出題されます。主に厚生労働白書や労働経済白書、労働統計のデータが問われます。
以下は統計からの出題です。↓
白書や労働統計は範囲が広いため、何が出題されるか予測が困難です。
受験者をもっとも悩ませる選択式の問題が「白書・統計タイプ」になります。
詳細はこちら >> 白書の出題ポイントを押さえる方法
事例タイプ
選択式では、事例問題も頻繁に出題されます。事例問題では、与えられた情報と持っている知識を駆使して、答えを導き出すことが求められます。
以下は、実際に出題された事例問題です。↓
事例問題は丸暗記では対応できないため、読解力と応用力を鍛える必要があります。
正答率を上げるテクニック
社労士試験で出題されるポイントは、択一式も選択式も同じです。択一式の実力が上がれば、選択式もある程度は解けるようになります。
しかし、選択式の科目ごとの合格基準点をすべてクリアするためには、テクニックも必要です。次の6つの手順で選択式の問題を解くと、正答率を上げることができます。
①問題文を軽く読む
まず、選択式の問題文を読みます。与えられている20の選択肢を見てはいけません。
問題文だけをサラッと読んで、問われている内容の主旨を把握します。
②しっかり読む
選択式の問題文を軽く読んで全体をつかんだあとに、もう一度問題文を読みます。今度は精読です。
しっかり読みながら、わかる空欄がないか確認します。
③自力で空欄に語句を書く
精読しながら、入れられそうな空欄があれば埋めていきます。
ポイントは選択肢を見ずに自力で空欄に入る語句を書いてみること。なんとなくでもOKです。漢字がわからなければ、ひらがなやカタカナでも構いません。
選択肢を見ずに文脈から入る語句を考えることで、選択肢に惑わされずに正解を導き出せます。
④書いた語句と選択肢を照合する
精読をしながら、入力できそうな空欄に自力で一通り書き終えたあとは、選択肢を確認します。20の選択肢の中に、自分で書いたフレーズと同一または似た語句があれば、その選択肢は解答の第一候補です。
⑤20の選択肢を5つにグルーピングする
与えれている20の選択肢を、5つにグループ分けします。1つの空欄には4つの選択肢が与えられているからです。
自分で書いたフレーズを、グループの中の4つの語句と見比べて他に適切な選択肢がないか確認します。
間違いないと確信がもてたら、マークシートに書き込みます。
⑥4つの選択肢に絞り込む
自力ではわからない空欄を埋めるために、答えを選び終わった空欄に与えられている選択肢を削除します。
問題文の流れからグループを特定。グループが特定できたら、空欄に4つの語句をそれぞれ書き入れて、知識や常識、前後の文脈から1つを選択します。
グルーピングができれば、ほとんどの空欄は選択肢を4つまで絞り込めます。正解できる確率は25%です。
手順④までにすべての空欄を埋めることができたら、⑤以降のグルーピングの作業は省いても構いません。
模擬試験を活用する
社労士試験の選択式は毎年8問×5空欄=40空欄。問題数が少ないです。選択式の場合、過去に問われた語句が同じ問題文で出題されることはほとんどありません。
選択式の過去問演習は出題傾向を知る上で役立ちます。しかし、過去問を繰り返すうちに正解の語句を覚えてしまうため、選択肢を絞り込む技術を習得するという面では不向きです。
模擬試験や練習問題を活用して、選択式のテクニックを身につけましょう。特に模試は効果的です。各団体が本試験で的中させるために、威信をかけて問題を作っています。
模試は最高の予想問題です。
社労士試験の模試は2社、活用するのがおすすめです。1社は会場で受験。もう1社は選択式対策として自宅に取り寄せます。
受講生が多い資格スクールの模試を選びましょう。理由は、模試の問題が的中して本試験に出題された場合に内容を知らないと、大きなハンデになるからです。
おすすめは以下の資格スクールの模試です。
消化不良になっては逆効果。模試は2社までにしましょう。
詳細はこちら >> 得点につながる模試の活用法
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初見の問題を想定する
社労士試験の選択式では、見たことのない問題が出題されます。特に「労務管理その他労働に関する一般常識」では難問がよく出題され、合格基準点が引き下げられています。
どれだけ時間をかけて勉強しても、すべての範囲を100%カバーするのは不可能です。初見の問題や難問が出るものと覚悟しておきましょう。
選択式でわかならい問題が出てきたときは、次の手順で冷静に対処してください。
- 「やっぱり出てきた、想定内」と思う
- 「みんな解けない」と開き直る
- 選択式のテクニックを使って、冷静に絞り込む
奇問難問を「想定している」のと「いない」のでは、結果も違ってきます。
社労士試験の選択式では初見の問題が出るものと想定して、あらかじめ対処法を考えておくことが重要です。本試験でパニックにならずに済みます。
模試や練習問題を活用して、選択式のテクニックを使いこなせるようになりましょう。
やる気を保つコツはこちら >> モチベーションを維持する方法
択一式と選択式のコツをつかんで社労士試験に合格しよう
社労士試験の択一式とは5肢択一、選択式は穴埋め問題で出題されるポイントは同じです。基本的な対策は、どちらも過去問の演習になります。
択一式の実力がつくと選択式の問題も解けるようになります。選択式は過去問の数が少ないため、択一式の過去問を中心に反復演習しましょう。
社労士試験で最難関の課題は、選択式の全科目で3点以上を死守することです。次のテクニックを使って、候補となる選択肢を絞り込みます。
- 問題文を軽く読む
- しっかり読む
- 自力で空欄に語句を書く
- 自分で書いた語句を選択肢と照合する
- 20の選択肢を5つにグルーピングする
- 4つの選択肢に絞り込む
模試や練習問題を活用して、選択式のテクニックを使いこなせるようになってください。効果的な学習を重ねれば、どんな問題が出題されても冷静に対処できるようになります。
択一式と選択式のコツをつかんで、最短合格しましょう。
合格する可能性が確実に上がる!