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- 労働基準法って、どんな法律?
- 勉強の進め方がわからない
- 社労士試験の得点につながる学習法が知りたい
労働基準法は労働者を守るための法律。社会保険労務士試験の学習を始めるなら、最初に学ぶことになる科目です。いきなり、つまずくわけにはいきません。
この記事では、労働基準法を攻略する方法を解説。記事を読めば、挫折することなくスムーズに、次の労働安全衛生法の学習に進めます。
労働基準法の問題は長文が多いため、正解を導き出すには慣れとテクニックが必要です。通達や判例を基に作られた問題も頻繁に出題されます。
過去に出題された問題(過去問)を繰り返し解いて、労働基準法の趣旨をインプットする必要があります。
通達・判例
- 通達
- 行政機関が出す法令の解釈や運用、執行方針を指します。
- 判例
- 裁判所が事件に対して示した判断のことです。社労士試験では最高裁判所における判例が出題されます。
合格する可能性が確実に上がる!
社労士試験|労働基準法の目的は労働者保護
労働基準法は、1947年に作られた労働者を保護するための法律。一般的に労働者は、使用者よりも立場が弱いです。
労働者を守るために、労働基準の最低条件を定めているのが労働基準法なのです。会社に勤めている社会人にとって身近な法律でもあります。
労働者を保護するために労働基準法には、賃金や労働時間、解雇などの決まりが定められています。
- 残業代は2割5分以上、割増しなければならない
- 労働時間の上限は、1週間に原則40時間まで
- 労働者を解雇する場合は30日前に予告が必要
基本的な考え方は次のとおりです。
労働者 | 使用者 | |
---|---|---|
立場 | 弱い | 強い |
措置 | 保護する | 規制する |
労働基準法の目的は、立場の弱い労働者を保護するために、使用者に規制をかけることです。社労士試験の学習する際は、法律が作られた目的を忘れないようにしましょう。
労働者を守るための規制には、以下の3つの方法があります。
- 手続きを踏ませる
- 例:事業の継続が不可能となり解雇する場合でも、労働基準監督署長の認定が必要
- 最低基準を設ける
- 例:賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない
- 罰則
- 例:強制労働をさせた場合は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金が科される
労働基準法の目的を意識しながら学習すると、規定を理解しやすいです。
社労士試験|労働基準法の点数配分と出題傾向
社労士試験の科目における、労働基準法の概要を次の観点から解説します。
点数配分
労働基準法の点数配分は以下になります。
労働基準法 | 労働安全衛生法 | 合計 | |
選択式 試験 | 3空欄 (3点) | 2空欄 (2点) | 5空欄 (5点) |
択一式 試験 | 7問 (7点) | 3問 (3点) | 10問 (10点) |
社労士試験では、「労働基準法及び労働安全衛生法」で1科目です。選択式試験が1問(5空欄)、択一式試験が10問、出題されます。
労働基準法と労働安全衛生法を合計した得点が「選択式で3点以上かつ択一式で4点以上」であれば、科目クリアです。
例年、選択式試験は空欄A〜C、択一式では問1〜問7までが労基法の問題になっています。
労働基準法 | 労働安全衛生法 | |
選択式 試験 | 空欄A〜C (3つ) | 空欄D、E (2つ) |
択一式 試験 | 問1〜問7 (7問) | 問8〜問10 (3問) |
以下は実際の選択式試験の問題です。↓
試験の全体に占める、労働基準法の点数の割合は以下のとおり。↓
割合 | 労働基準法の点数 | 総点数 | |
選択式 | 7.5% | 3点 | 40点 |
択一式 | 10% | 7点 | 70点 |
社労士試験の総点数に占める労働基準法の割合は、選択式で7.5%、択一式で10%です。
過去5年間の出題傾向
社労士試験における労働基準法の直近5年間の出題は次のとおりです。
「総則」と「労働時間・休憩・休日」がよく出ています。次に「労働契約」「賃金」「年次有給休暇」「妊産婦等」「就業規則」に関する事項が出題されています。
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
総則 | 択一❷ | 選択 択一❷ | 択一❶ | 択一❷ 択一① | 択一❶ |
労働契約 | 択一❶ | 択一① | 選択 択一① | 択一① | 択一① |
解雇 | 択一① | 選択 択一① | 択一① | ||
賃金 | 選択 択一❶ | 択一❷ | 択一① | 択一❷ | |
労働時間・休憩・休日 | 択一❶ 択一① | 択一① | 選択 択一① | 択一❷ 択一① | 選択 択一❶ 択一① |
年次有給休暇 | 択一① | 択一① | 択一① | 択一① | 選択 択一① |
年少者 | 択一① | 択一① | |||
妊産婦等 | 択一❶ | 択一❶ 択一① | 択一① | ||
就業規則 | 択一① | 択一❶ | 択一❶ | ||
寄宿舎・監督機関 | 選択 択一① | ||||
雑則・罰則 | 択一① | 択一① | 選択 |
- 択一:択一式試験で出題
- 選択:選択式試験で出題
- ❶❷:1問で出題された数
- ①:1問の一部分で出題された数
偏って出題されているテーマはありません。労働基準法は、基本事項から細かな点まで幅広く問われます。
合格基準点を確実にクリアするために、出題範囲を満遍なく勉強しましょう。
2023年の試験員
社労士試験は、問題作成を担当した試験委員が公表されています。2023年の労働基準法と労働安全衛生法を作問した方々(敬称略)は次の7名です。
- 石川 公彦
- 沖縄大学 経法商学部 経法商学科 教授
- 大木 栄一
- 玉川大学 経営学部 国際経営学科 教授
- 小畑 史子
- 京都大学 大学院人間 環境学研究科 教授
- 佐野 正照
- 社会保険労務士 元大阪中央労働基準監督署長
- 柴田 洋二郎
- 中央大学 法学部 教授
- 永野 仁美
- 上智大学 法学部 法律学科 教授
- 丸谷 浩介
- 九州大学 法学研究員 公法・社会法学部門 社会法学 教授
試験員7名中、6名が大学教授です。
社労士試験|労働基準法の攻略方法
社労士試験の労働基準法を攻略する方法を、2つに分けて解説します。
全体
労働基準法の難易度と学習にかけるべき時間の比重度、法改正の多少は、次の通りです。
労働基準法 | |
難易度 | (2.5 / 5.0) |
学習時間の比重度 | (4.0 / 5.0) |
法律の改正 | 少ない |
社労士試験の労働基準法の難易度は「普通」。学習に時間をかけるべき科目です。2022年の本試験では、法改正に関する出題はありませんでした。
攻略するためのポイントは以下の4つになります。
(クリックすると各項目へジャンプします。)
じっくり学ぶ
労働基準法は、労働法科目のベースとなる法律です。
労働法科目は6つ
①労働基準法、②労働安全衛生法、③労災保険法、④雇用保険法、⑤労働保険徴収法、⑥労務管理その他労働に関する一般常識(労一)
ちゃんと労働基準法を理解していないと、続く労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、労働保険徴収法、労一の学習でつまづいてしまいます。
社労士試験では、労働基準法は最初に学ぶ科目であり、身近でわかりやすい法律です。
基礎となる労働基準法は、理解できるまで時間をかけてじっくり学習しましょう。
通達と判例に慣れる
社労士試験の労働基準法は、通則と判例からの出題が多いです。行政機関が出す法令の解釈や、最高裁判所の判例を知らないことには攻略できません。
以下は実際に試験で出題された通達に関する問題です。↓
続いて、通達問題の基になった法律の条文です。↓
労働基準法 第十七条
(前借金相殺の禁止)
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
労働基準法|e-Gov法令検索
労働基準法第17条には、通達の内容は書かれていません。法律の条文を知っているだけでは、通達に関する問題の正誤を判断できないことがわかります。
以下は、最高裁判所の判例をもとに作られた試験問題です。↓
社労士試験の労働基準法を攻略するには過去問を繰り返し解いて、主要な通達と判例の考え方を理解する必要があります。覚えた通達と判例に関する知識を条文に結びつけることで、法律の理解が深まるのです。
「法律の条文」と「通達・判例」の知識を結びつけるには、問題集とテキストを行き来する必要があります。
頻出項目を中心に学習する
社労士試験の労働基準法の中で、よく出題されている項目を中心に勉強をしてください。得点に直結するからです。
一通り学習を終えたあとは過去5年間の出題を基に、以下の優先順位で労働基準法の過去問を反復しましょう。
- 総則
- 労働時間・休憩・休日
- 労働契約
- 賃金
- 妊産婦等
- 就業規則
最速で得点アップにつながります。
学習の基本はこちら >> 最短合格できる勉強方法
長文は主語と述語から読む
社労士試験の労働基準法の問題は長文が多くみられます。長文問題が厄介な理由は以下のとおりです。
- 気持ちがなえる
- 読むのに時間がかかる
- 問題の正誤を判断するポイント(論点)がどこにあるのか、わかりにくい
問題文が長いだけで、難しく感じてしまいます。
労働基準法で長文が出題された場合は、まず主語と述語だけを読むようにしましょう。問題の主旨が見えてきます。以下は実際に、出題された択一式試験の問題です。
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見聴取をした上で、就業規則に、労働契約に付随することなく、労働者の任意になす貯蓄金をその委託を受けて管理する契約をすることができる旨を記載し、当該就業規則を行政官庁に届け出ることにより、労働契約に付随することなく、労働者の任意になす貯蓄金をその委託を受けて管理する契約をすることができる。
2021年 択一式試験 労働基準法 問2D
問題文の主語と述語を抜き出すと次のとおり。
- 主語:使用者は
- 述語:労働者の任意になす貯蓄金をその委託を受けて管理する契約をすることができる。
主語と述語をつなげて読むだけで、労働基準法18条の強制貯金の禁止・任意貯金に関する問題だと推測できます。
問題文が長い場合は、最初から最後まで一気に読もうとせずに、主語と述語を確認して問題の主旨をつかむように心がけてください。
択一式試験であれば、短い選択肢から読むことで時間を短縮できる場合があります。
項目ごと
労働基準法の項目ごとの攻略ポイントは以下のとおりです。
- 総則
- 労働基準法の基本的な理念や、「労働者とは」「賃金とは」といった用語の定義がまとめられている。第1条の目的条文や用語の定義を確実に押さえる。
- 労働契約
- 労働契約の開始・終了に関する規定がまとめられている。労働条件の絶対的明示事項と相対的明示事項の違い、解雇制限の期間や解除、解雇予告に関するルールを正確に記憶する。
- 賃金
- 賃金の支払方法について定めている。賃金支払の5原則や休業手当を丁寧に覚える。
- 労働時間・休憩・休日
- 労働時間に関する規定がまとめられている。労基法の中では一番ボリュームがある項目。休憩や休日などの馴染み深いテーマが多い。変形労働時間制や時間外労働、年次有給休暇は頻出。複雑な規定もあるため、理解を重視する。
- 妊産婦等
- 妊産婦等を保護するための規定。坑内業務の就業制限や産前産後休業、妊産婦の労働時間に関する決まりを押さえれば得点できる。
- 就業規則
- 就業規則は会社が作るルールブック。就業規則の絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項の暗記は必須。労働契約で学習する「労働条件の明示事項」との違いも明確に理解しておくこと。
- その他
- 年少者の労働時間と休日、深夜業に関する規定。法令等の周知義務、賃金台帳、記録の保存義務、時効、罰則に関する規定は重要度が高い。漏れなく覚える。
あなたの会社のルールを労働基準法に照らし合わせながら学習すると、法律がもっと身近に感じられます。
試験当日の対策はこちら >> 本番で失敗しない心構えとテクニック
労働基準法をマスターして社労士試験を攻略しよう
労働基準法は社労士試験の学習を始める際に、最初に学ぶ法律です。最高のスタートが切れるように、「全体」と「項目ごと」のポイントをつかんでおきましょう。
よく出題されている項目から学習していくと、効率的に得点を伸ばせます。
労働基準法は、社労士試験の労働法科目における基礎となる法律です。
労働基準法を得意科目にして、労働法を攻略しましょう。
聴くだけで基礎を身につける方法
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