- 社労士試験に一発合格するのは無理ゲー?
- 簡単だった?宅建と比べたときの難易度は?
- 最短で合格する方法が知りたい
「難しすぎ」といわれる社会保険労務士試験に一発で合格する確率は2%以下。無理ゲーではありませんが、戦略を立ててのぞまないと、1年に一度の試験に、1回の受験で合格するのは困難です。簡単だったという声もありますが、誰でも簡単に取得できる資格ではありません。
この記事では社労士試験の難易度と合格ラインを解説します。記事を読めば、一発合格するために最適な対策を講じることができます。
社労士試験の合格率は6〜7%。合格するには、宅地建物取引士の2倍以上となる800〜1,000時間の勉強が必要です。
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難しすぎ?社労士試験の合格率は6〜7%
社労士試験は1年に1回で、例年8月の第4日曜日に実施。合格率は6〜7%で推移しています。以下は過去10年間の受験申込者数・受験者数・合格者数です。
実施年度 | 合格率 | 合格者(人) | 申込者(人) | 受験者(人) | 受験率 |
---|---|---|---|---|---|
2014年 | 9.3% | 4,156 | 57,199 | 44,546 | 77.9% |
2015年 | 2.6% | 1,051 | 52,612 | 40,712 | 77.4% |
2016年 | 4.4% | 1,770 | 51,953 | 39,972 | 76.9% |
2017年 | 6.8% | 2,613 | 49,902 | 38,685 | 77.5% |
2018年 | 6.3% | 2,413 | 49,582 | 38,427 | 77.5% |
2019年 | 6.6% | 2,525 | 49,570 | 38,428 | 77.5% |
2020年 | 6.4% | 2,237 | 49,250 | 34,845 | 70.8% |
2021年 | 7.9% | 2,937 | 50,433 | 37,306 | 74.0% |
2022年 | 5.3% | 2,134 | 52,251 | 40,633 | 77.8% |
2023年 | 6.4% | 2,720 | 53,292 | 42,741 | 80.2% |
過去10年間で合格率がもっとも高い年は2014年の9.3%。一番低い年で2015年の2.6%です。2017年以降は2022年を除き、合格率は6%を超えています。
受験率は75%前後です。試験の申し込みを済ませても、約25%の人が受験していません。
直近5年間のトレンドは次のとおりです。
- 合格率:6.5%
- 受験申込者数:5万人前後
- 受験者数:4万人弱
- 合格者数:2,500人前後
なぜ社労士試験の難易度が高いかというと、1年間の合格者数が平均で2,500人程度になるように調整されているから。合格率が低い理由は、試験主催者が合格者数を制限しているからです。
受験者数が多い割に狭き門なのが、「社労士は難しすぎ」「無理ゲー」だとか、合格すると周りから「すごい」といわれる由縁です。
受験者数は、不景気になるほど増える傾向があります。
合格者の6割が30歳~40歳台
2023年に実施された社労士試験の合格者の年齢層で、最多は「45~49歳」でした。
以下は全国社会保険労務士会連合会試験センター(試験センター)が発表した合格者の年齢階層別割合です。
合格者の年齢層 | 割合 |
24歳以下 | 1.9% |
25〜29歳 | 9.9% |
30〜34歳 | 16.9% |
35〜39歳 | 15.7% |
40〜44歳 | 13.9% |
45〜49歳 | 15.3% |
50〜54歳 | 11.2% |
55〜59歳 | 7.7% |
60歳以上 | 7.5% |
合計 | 100.0% |
2023年の合格者の年齢層は、もっとも多い「45〜49歳」(15.3%)に次いで、「30〜34歳」(16.9%)、「35〜39歳」(15.7%)、「40〜44歳」(13.9%)の順になっています。
「30〜49歳」までの合格者の割合を合計すると61.8%。社労士試験は30〜40歳台に人気の資格といえます。
2023年の合格者の最年少は21歳、最高齢は76歳でした。
働きながら合格できる
2023年社労士試験の合格者の職業で、もっとも多かったのが「会社員」(58.8%)です。以下は試験センターが発表した、合格者の職業別割合です。
合格者の職業 | 割合 |
会社員 | 58.8% |
無職 | 12.3% |
公務員 | 8.8% |
団体職員 | 4.6% |
自営業 | 4.3% |
役員 | 2.9% |
学生 | 0.8% |
その他 | 7.5% |
合計 | 100.0% |
合格者の職業に、「公務員」(8.8%)と「団体職員」(4.6%)が含まれています。
「会社員・公務員・団体職員」といった雇われている人の割合を合計すると72.2%。合格者の7割を被用者が占めていることから、社労士は働きながら合格を目指せる資格だとわかります。
「自営業者」(4.3%)には、税理士や行政書士として開業している人も含まれます。隣接士業も社労士として仕事を受けるために、合格を目指すのです。
受かる人の多くが、1日3時間程度の勉強を1年間続けた上で、試験にのぞんでいます。
合格者の6割は男性
試験センターが発表した、2023年社労士の合格者の男女割合は以下のとおりです。
- 男性:61.2%
- 女性:38.8%
合格者の6割を男性が占めています。
以上のデータから、2023年の合格者の多数は「30歳〜40歳台の男性会社員」だと推測できます。
簡単だった年がある
「難しすぎ」といわれる社労士試験ですが、合格率と合格者数の推移を見ると簡単だった年があることがわかります。以下は直近10年間の推移です。
実施年度 | 合格率 | 合格者(人) | 受験者(人) |
---|---|---|---|
2014年 | 9.3% | 4,156 | 44,546 |
2015年 | 2.6% | 1,051 | 40,712 |
2016年 | 4.4% | 1,770 | 39,972 |
2017年 | 6.8% | 2,613 | 38,685 |
2018年 | 6.3% | 2,413 | 38,427 |
2019年 | 6.6% | 2,525 | 38,428 |
2020年 | 6.4% | 2,237 | 34,845 |
2021年 | 7.9% | 2,937 | 37,306 |
2022年 | 5.3% | 2,134 | 40,633 |
2023年 | 6.4% | 2,720 | 42,741 |
2014年と2021年は他の年よりも合格率が高く、合格者数も多いです。ここ10年間は、1年間の合格者数の平均を2,500人程度にするために、試験主催者が調整していると考えられます。
このことから、今後も10年間に2回くらいは合格者数を調整するために、比較的簡単な年があると推測できます。
2022年と2023年は、選択式試験で救済措置が行われなかったため、難易度が上がりました。2024年の試験はその反動で、合格者数が増えることが予想されます。
私は合格率9.4%の2014年に受かりました。続けているとラッキーが起こります。
受かる人の特徴
社労士試験に受かる人の特徴は、次の3つです。
- 学習を継続できる人
- 工夫できる人
- 強い意志を持っている人
1週間に1回、1日7時間勉強するよりも、毎日1時間、勉強するほうが効果が高いです。仕事や家庭の用事が忙しくても、勉強をコツコツ続ける継続力が求められます。
学習の基本は存在しますが、具体的な勉強法は数多くのものがあります。当然、向き不向きがありますので、ご自身に合う勉強法を見つけるための創意工夫が必要です。
合格率が6~7%の試験です。学習する内容も簡単ではありません。不安になったり、思うように成績が伸びなかったり、結果を得られなかったりすることもあります。その際に、「試験に合格したい」という強い意志があるかどうかが、重要になってきます。
難しすぎ?社労士に一発合格する確率は2%以下
1年間勉強を続けて社労士試験にのぞんだとしても、一発合格する合格する確率は2%以下です。無理ゲーではありませんが、難易度は高いといえます。
以下は資格スクールのTACが、2017~2022年の合格者505名(TAC受講生)に実施したアンケート結果。何回目の受験で合格したか、を表すデータです。
TAC合格者の受験回数 | 割合 |
1回 | 26% |
2回 | 26% |
3回 | 18% |
4回 | 12% |
5回 | 8% |
6回以上 | 10% |
合計 | 100% |
TACの受講生で、1回目の受験で取得しているのは26%です。社労士試験の合格率が7%だとすると7%×26%=1.82%。
社労士試験に1回目で合格できるのは、計算上100人中1.82人となります。一発合格の確率を理解した上で、 目標や戦略を立てることが重要です。
しかし別の言い方をすれば、合格者の70%は3回以内の受験で合格しています。
また受験者の中には合格ラインに達していないけど、「受かったらいいな」「来年のために」という記念受験的な方が2〜3割、存在します。楽観過ぎてもいけませんが、表面的な難易度を見て、過度に悲観的になる必要もありません。
独学で一発合格する確率は1%程度です。
学習スタイルはこちら >> 独学・通学・通信講座のメリットとデメリット
社労士試験に最短で合格したいなら資格予備校
社労士試験に一発合格したいなら、TACなどの資格予備校の講座を受講しましょう。講座を利用するメリットは以下の4つです。
- ムダなく学習できる
- ペース配分で悩まない
- 講義を視聴して理解できる
- わからないことを質問できる
- 難しい法律の話を簡単に説明してもらえる
社労士試験の出題範囲は膨大です。市販のテキストが1,000ページを超えていることも珍しくありません。仕事をしながら、テキストを丸暗記するのは大変です。
資格スクールの場合、重要ポイントを中心に講義が展開されます。範囲が絞られる分、記憶する量を減らせるわけです。講義を視聴することで理解できる部分が増え、覚えたことを忘れにくくなります。つまり、時間を大幅に短縮できるのです。
受かる人の大多数が資格予備校の対策講座を受講しています。独学を選択して、スタート時点でハンデを負わないように、予備校の活用を検討しましょう。
現在は、スマホ対応のeラーニングが主流です。通信講座なら料金も安価ですよ。
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無理ゲー?社労士の難易度をランキング
社労士と他6士業の難易度を比較してランキングしました。以下は各資格の「合格率」と「合格までの学習時間の目安」をもとに、難易度を5つ星で評価したものです。
順位 | 資格名 | 難易度 | 合格率 | 合格までの学習時間の目安 |
1 | 弁護士(予備試験) | (5.0 / 5.0) | 3% | 6,000時間 |
2 | 司法書士 | (4.0 / 5.0) | 4〜5% | 3,000時間 |
2 | 税理士 | (4.0 / 5.0) | 15〜20% | 3,000時間 |
3 | 中小企業診断士 | (3.0 / 5.0) | 4〜5% | 1,000〜1,500時間 |
4 | 社会保険労務士 | (3.0 / 5.0) | 6〜7% | 800〜1,000時間 |
5 | 行政書士 | (3.0 / 5.0) | 10〜13% | 600〜800時間 |
6 | 宅地建物取引士 | (2.0 / 5.0) | 15〜17% | 300〜500時間 |
資格ごとに試験のルールや合格基準が異なるので一概にはいえませんが、社労士は中小企業診断士や行政書士と同じレベルの難易度です。
社労士、中小企業診断士、行政書士の3つを難易度順に並べると以下のとおり。
- 【難】 中小企業診断士 > 社労士 > 行政書士 【簡単】
学習時間の目安と合格率から考察すると、3つの資格の中では中小企業診断士が一番難易度が高いです。
社労士は、弁護士・司法書士・税理士と比べると、無理なく、手が届くレベルの試験です。
社労士の魅力は独占業務
中小企業診断士のほうが社労士よりも試験の難易度が高い傾向にありますが、社労士には「独占業務」があります。 一方、中小企業診断士には独占業務がありません。
独占業務とは「資格をもっている者だけが独占的に行うことができる仕事」を指します。社労士の独占業務は次のとおりです。
独占業務 | 業務内容 |
1号業務 | 労働社会保険諸法令に関する ・書類作成 ・提出代行 ・事務代理 ・紛争解決手続代理業務 |
2号業務 | 労働社会保険諸法令に関する ・帳簿書類作成 |
独占業務である1号業務と2号業務については、社労士だけが報酬を得て仕事を行うことができます。社労士は国から独占業務が認められている特別な資格なのです。
下記は各士業に認められている主な独占業務です。
- 弁護士:裁判手続き、紛争性のある事件についての交渉をする
- 司法書士:登記または供託に関する手続についての代理ができる
- 税理士:税務代理、税務書類の作成、税務相談ができる
- 行政書士:官公署に提出する書類および事実証明、権利義務に関する書類の作成代理
- 宅地建物取引士:重要事項の説明、重要事項説明書への記名押印、契約書への記名押印
社労士の難易度を大学で例えると
社労士試験の偏差値は65です。次の表は、偏差値が65であるとき、上位何パーセントかを示しています。
偏差値 | 上位何%か |
80 | 0.13% |
75 | 0.62% |
70 | 2.28% |
65 | 6.68% |
60 | 15.87% |
55 | 30.85% |
50 | 50.00% |
45 | 69.15% |
40 | 84.13% |
社労士試験の過去5年間の合格率の平均は6.5%です。決定した合格基準から、上位6.5%が合格するという意味では、偏差値65と言い換えることができますね。
株式会社ベネッセコーポレーションが発表している「大学の偏差値一覧」によると、偏差値65の大学は次のとおりです。
国立大学文系学部(偏差値65)
大阪公立大(経済)、大阪公立大(生活科-人間福祉)、名古屋市立大(人文社会)、神戸市外国語大(外国語)
私立大学文系学部(偏差値65)
青山学院大(コミュニティ人間科)、国学院大(法)、成蹊大(経済)、津田塾大(総合政策)、立教大(スポーツウェルネス)、武蔵大(国際教養)、南山大(経営)、立命館大(産業社会)、関西大(政策創造)、関西学院大(文)、西南学院大(外国語)など
資格試験と大学受験は、制度や環境がまったく異なります。あくまで、ご参考までに。
無理ゲー?社労士試験の合格ライン
社労士試験の原則的な合格基準は以下の4つです。すべての基準をクリアしたら合格です。
- 選択式試験の総得点が49点以上
- 選択式試験の全8科目がそれぞれ3点以上
- 択一式試験の総得点が28点以上
- 択一式試験の全7科目がそれぞれ4点以上
受験者の点数により合格基準が調整され、合格基準点が決まります。基本的には原則的な基準よりも、実際の合格ラインは低くなります。つまり、基準点は毎年変動するのです。
合格基準の調整
受験者の得点を勘案して、合格基準点を決めることです。合格基準点は、試験に合格するために最低限必要な点数。
科目ごとの合格基準点が引き下げられることを「基準点の補正」や「救済措置」などと呼びます。本記事では「救済措置」で表記統一します。
以下は2023年の試験の合格ラインです。
- 選択式試験:総得点26点以上かつ各科目3点以上
- 救済措置なし
- 択一式試験:総得点45点以上かつ各科目4点以上
- 救済措置なし
社労士の資格を取得するには、合格基準をすべてクリアする必要があります。これが試験の難易度を上げています。
選択式試験と択一式試験の得点を合計した総得点は、合格基準に含まれません。
試験は選択式と択一式の2種類
社労士試験は2種類の試験が実施されます。どちらもマークシート方式です。
- 選択式試験
- 択一式試験
選択式試験は8問
選択式試験(選択式)は、以下のような問題が8問出題されます。5つの空欄に入る適切な語句を、与えられた20の選択肢の中から選ぶ形式です。
選択式の試験科目と配点、出題数は次のとおり。
科目数 | 科目名 | 配点 | 出題数 |
1 | 労働基準法+ 労働安全衛生法 | 5点 (労基3点+安衛2点) | 1問 5空欄 |
2 | 労災保険法 | 5点 | 1問 5空欄 |
3 | 雇用保険法 | 5点 | 1問 5空欄 |
4 | 労一 | 5点 | 1問 5空欄 |
5 | 社一 | 5点 | 1問 5空欄 |
6 | 健康保険法 | 5点 | 1問 5空欄 |
7 | 厚生年金保険法 | 5点 | 1問 5空欄 |
8 | 国民年金法 | 5点 | 1問 5空欄 |
– | 合計 | 40点 | 8問 40空欄 |
選択式は全8科目。配点は空欄1つが1点で、40空欄×1点=40点満点です。
詳細はこちら >> 選択式試験の対策
択一式試験は70問
択一式試験(択一式)は下記タイプの問題が70問出ます。5つの選択肢の中から「正しいもの」または「誤っているもの」を1つ選ぶ、5肢択一です。
択一式の試験科目と配点、出題数は以下になります。
科目数 | 科目名 | 配点 | 出題数 |
1 | 労働基準法+ 労働安全衛生法 | 10点 (労基7点+安衛3点) | 10問 |
2 | 労災保険法+ 労働保険徴収法 | 10点 (労災7点+徴収3点) | 10問 |
3 | 雇用保険法+ 労働保険徴収法 | 10点 (雇用7点+徴収3点) | 10問 |
4 | 労一+社一 | 10点 (労一5点+社一5点) | 10問 |
5 | 健康保険法 | 10点 | 10問 |
6 | 厚生年金保険法 | 10点 | 10問 |
7 | 国民年金法 | 10点 | 10問 |
– | 合計 | 70点 | 70問 |
択一式は全7科目。配点は1問1点で、70問×1点=70点満点です。
詳細はこちら >> 択一式試験の対策
合格ラインの推移
以下は社労士試験の10年間の合格ラインの推移です。合格基準点は毎年変動しています。
試験年 | 合格率 | 選択式 基準点 | 選択式 救済措置 | 択一式 基準点 | 択一式 救済措置 |
---|---|---|---|---|---|
2014年 | 9.3% | 総得点 26点以上 各科目 3点以上 | 雇用・健保は2点可 | 総得点 45点以上 各科目 4点以上 | 労一+社一は3点可 |
2015年 | 2.6% | 総得点 21点以上 各科目 3点以上 | 労一・社一・健保・厚年は2点可 | 総得点 45点以上 各科目 4点以上 | なし |
2016年 | 4.4% | 総得点 23点以上 各科目 3点以上 | 労一・健保は2点可 | 総得点 42点以上 各科目 4点以上 | 労一+社一・厚年・国年は3点可 |
2017年 | 6.8% | 総得点 24点以上 各科目 3点以上 | 雇用・健保は2点可 | 総得点 45点以上 各科目 4点以上 | 厚年は3点可 |
2018年 | 6.3% | 総得点 23点以上 各科目 3点以上 | 社一・国年は2点可 | 総得点 45点以上 各科目 4点以上 | なし |
2019年 | 6.6% | 総得点 26点以上 各科目 3点以上 | 社一は2点可 | 総得点 43点以上 各科目 4点以上 | なし |
2020年 | 6.4% | 総得点 25点以上 各科目 3点以上 | 労一・社一・健保は2点可 | 総得点 44点以上 各科目 4点以上 | なし |
2021年 | 7.9% | 総得点 24点以上 各科目 3点以上 | 労一は1点可 国年は2点可 | 総得点 45点以上 各科目 4点以上 | なし |
2022年 | 5.3% | 総得点 27点以上 各科目 3点以上 | なし | 総得点 44点以上 各科目 4点以上 | なし |
2023年 | 6.4% | 総得点 26点以上 各科目 3点以上 | なし | 総得点 45点以上 各科目 4点以上 | なし |
過去10年間で、選択式の総得点の合格基準点は低い年が21点、高い年は27点。
択一式の総得点の合格基準点は低い年が42点、高い年で45点でした。
確実な合格ラインの目安
社労士試験の過去10年間の合格基準から、確実な合格ラインの目安は次のように導き出せます。
- 選択式:総得点28点以上かつ各科目3点以上
- 択一式:総得点46点以上かつ各科目4点以上
選択式、択一式ともに、「かつ」がポイントです。総得点が高くても各科目の基準点を満たしていなければ、救済措置がない限り不合格になってしまいます。
合格率が低い年度で、救済措置が多く見られます。
合格時と不合格時の得点例
合格時と不合格時の得点例をご紹介します。合格基準は、2021年の社労士試験の基準点(下記)を使います。
- 選択式試験:総得点24点以上かつ各科目3点以上
- ただし、労務管理その他の労働に関する一般常識は1点以上、国民年金法は2点以上(救済措置)
- 択一式試験:総得点45点以上かつ各科目4点以上
合格時の得点事例
2021年の社労士試験の得点が、以下の場合は合格です。(選択式は「選」、択一式は「択」に省略)
科目 | 満点 | 合格 基準点 | 得点 |
---|---|---|---|
選・労基+安衛 | 5点 | 3点以上 | 3点 |
選・労災 | 5点 | 3点以上 | 5点 |
選・雇用 | 5点 | 3点以上 | 4点 |
選・労一 | 5点 | 1点以上 | 1点 |
選・社一 | 5点 | 3点以上 | 3点 |
選・健保 | 5点 | 3点以上 | 5点 |
選・厚年 | 5点 | 3点以上 | 3点 |
選・国年 | 5点 | 2点以上 | 2点 |
【選・総得点】 | 40点 | 24点以上 | 26点 |
択・労基+安衛 | 10点 | 4点以上 | 7点 |
択・労災+徴収 | 10点 | 4点以上 | 8点 |
択・雇用+徴収 | 10点 | 4点以上 | 5点 |
択・労一+社一 | 10点 | 4点以上 | 4点 |
択・健保 | 10点 | 4点以上 | 6点 |
択・厚年 | 10点 | 4点以上 | 7点 |
択・国年 | 10点 | 4点以上 | 8点 |
【択・総得点】 | 70点 | 45点以上 | 45点 |
合否判定 | – | – | 合格 |
選択式科目の「労一」と「国年」の得点が3点未満ですが、救済措置により合格基準点が引き下げられているため合格です。
不合格時の得点事例
得点が以下だった場合は、不合格になります。
科目 | 満点 | 合格 基準点 | 得点 |
---|---|---|---|
選・労基+安衛 | 5点 | 3点以上 | 4点 |
選・労災 | 5点 | 3点以上 | 5点 |
選・雇用 | 5点 | 3点以上 | 4点 |
選・労一 | 5点 | 1点以上 | 3点 |
選・社一 | 5点 | 3点以上 | 4点 |
選・健保 | 5点 | 3点以上 | 5点 |
選・厚年 | 5点 | 3点以上 | 4点 |
選・国年 | 5点 | 2点以上 | 3点 |
【選・総得点】 | 40点 | 24点以上 | 32点 |
択・労基+安衛 | 10点 | 4点以上 | 8点 |
択・労災+徴収 | 10点 | 4点以上 | 8点 |
択・雇用+徴収 | 10点 | 4点以上 | 7点 |
択・労一+社一 | 10点 | 4点以上 | 3点 |
択・健保 | 10点 | 4点以上 | 8点 |
択・厚年 | 10点 | 4点以上 | 7点 |
択・国年 | 10点 | 4点以上 | 9点 |
【択・総得点】 | 70点 | 45点以上 | 50点 |
合否判定 | – | – | 不合格 |
選択式・択一式ともに総得点の基準を大きく上回っていますが、択一式科目の「労一+社一」が合格基準点を下回っています。判定は不合格です。
総得点はクリアしているのに、科目の基準点を下回り不合格になることを、社労士試験では「足切り」といいます。
難しすぎ?社労士試験で足切りを防ぐ方法
「難しすぎ」といわれる社労士試験で足切りを防ぐには、苦手科目を作らないことです。いくら総合点が良くても1科目、基準点を下回ると不合格になってしまいます。
苦手科目を作らないために、学習の際は以下の3つを心がけましょう。
- 深追いをしない
- 苦手分野を特定する
- バランスよく勉強する
勉強法を間違えると一発合格が遠のいてしまいます。ご注意を。
深追いしない
労働基準法や雇用保険法を学習していると、日常生活に関係することがたくさん出てきます。
- 賃金
- 休日
- 労働時間
- 年次有給休暇
- 失業保険(正式には雇用保険)
一つひとつに興味をもつのは良いことですが、深追いするのはやめましょう。合格から遠ざかってしまいます。
社労士試験で出題される可能性がある法律は30以上。テキストに書かれていないことまで調べだしたら、時間がいくらあっても足りません。
「深追い」は、合格してからの楽しみにとっておきましょう。
苦手分野を特定する
苦手科目を作らないように、以下の方法で不得意な分野を特定してください。
- 過去の試験問題(過去問)を解くたびに記録を付ける
- 模試を受ける
過去問を解くたびに、「〇正解できた」「×不正解だった」は記録しましょう。3回、5回と過去問を繰り返すうちに、苦手な問題がはっきりします。
模試を受けると実力が数値化されます。点数を取れていない分野が一目瞭然です。解けなかった問題を集中的に復習しましょう。
苦手分野を客観的に把握する方法は「問題演習の〇×記録」と「模試」だけです。必ず実践するようにしてください。
学習履歴を自動的に記録してくれる、eラーニング講座もありますよ。
模試
社労士試験の本番を想定するための模擬試験。資格スクール各社が威信をかけて作問するため、良質な予想問題としても活用できます。模試では、TACの勝利の全国模試シリーズが有名です。
詳細はこちら >> 得点につながる模試の活用方法
バランスよく学習する
苦手科目を作らないように、全10科目をバランスよく勉強しましょう。学習する科目が極端に偏ってしまったら、足切りになる可能性が高くなります。
バランスよく勉強するために、学習記録を付けるのがおすすめです。最低限記録する内容は下記のとおり。
- 日付
- 勉強した時間
- 学習した内容
学習内容の記録は、「視聴した講義のタイトル」や「解いた過去問の科目や出題年度」「読んだテキストのページ」だけでもOKです。コツコツ、経験値を貯めていきましょう。
学習記録を確認しながら満遍なく、計画的に復習することで、バランスよく実力がアップします。
学習の基本はこちら >> 最短合格できる勉強方法
難しすぎ?社労士試験3つの特徴
社労士は、法律系の国家試験です。労働社会保険諸法令に関係する知識が問われます。計算力が問われる問題は少なく、数学が苦手な方でも安心して合格を目指せます。
試験の特徴は次の3つです。
- 合格基準が多い
- 救済措置がある
- 科目合格制度がない
一発合格するために、試験の特徴をしっかり理解しておくことが大事です。
合格基準が多い
社労士試験は細かく挙げると、17の合格基準があります。資格を取得するにはすべての基準を満たさなければいけません。
- 選択式:総得点
- 選択式:労働基準法+労働安全衛生法
- 選択式:労災保険法
- 選択式:雇用保険法
- 選択式:労一
- 選択式:社一
- 選択式:健康保険法
- 選択式:厚生年金保険法
- 選択式:国民年金法
- 択一式:総得点
- 択一式:労働基準法+労働安全衛生法
- 択一式:労災保険法+労働保険徴収法
- 択一式:雇用保険法+労働保険徴収法
- 択一式:労一+社一
- 択一式:健康保険法
- 択一式:厚生年金保険法
- 択一式:国民年金法
17の合格基準点を1つでも下回れば足切り、つまり不合格になります。合格基準が多いことが社労士試験の大きな特徴で、難易度を上げています。
17の基準をすべてクリアして、一発合格するのが「難しすぎ」なんです。
救済措置がある
社労士試験には救済措置と呼ばれる、合格基準点の引き下げがあります。以下は過去10年間の救済措置の有無です。
試験年 | 選択式 救済措置 | 択一式 救済措置 |
---|---|---|
2014年 | あり | あり |
2015年 | あり | なし |
2016年 | あり | あり |
2017年 | あり | あり |
2018年 | あり | なし |
2019年 | あり | なし |
2020年 | あり | なし |
2021年 | あり | なし |
2022年 | なし | なし |
2023年 | なし | なし |
救済措置は、選択式で毎年実施されていましたが、2022年と2023年は実施されませんでした。択一式ではあまり見られません。択一式で最後に合格基準点の引き下げが行われたのは、2017年です。
ただし、救済措置があるどうかは合格発表日までわかりません。必ず行われるとは限らないので、最初から救済措置に頼りにするのはやめておきましょう。
良くも悪くも救済措置に合否を左右されるのが、社労士試験の特徴です。
救済措置が行われる際の基準
合格基準点の補正が行われる際の基準が公開されています。要約すれば、以下のとおりです。
- 総得点(選択式と択一式に共通)
- ①受験者の総得点の平均値と、前年度の総得点の平均値と比較する。その差によって、前年の合格基準点を上げ下げしたもの。
②ただし、平成12年以降の平均合格率との乖離が大きくなった場合はこの限りではない。
③また、各科目の最低点の引き下げを2科目以上行ったことにより、例年の合格率と比べ高くなるときは、合格基準点を1点高くする。 - 各科目
- ①合格基準点(選択式3点、択一式4点)以上を取った受験者が、5割に満たない場合は引き下げる。
②ただし、引き下げたときに合格基準点以上の受験者が7割以上になった場合は、原則、引き下げは行われない。
③また、引き下げたときの合格基準点が選択式で0点、択一式で2点以下になる場合も、原則、引き下げはない。
例外的な規定があるので、わかりにくい制度です。結局、合格発表日にならないとわからないということです。
算出方法の詳細はこちら >> 社会保険労務士試験の合格基準の考え方について
科目合格制度がない
社労士試験には、科目合格の制度がありません。税理士や中小企業診断士の試験は、科目合格のルールを採用しています。
科目合格制度
試験科目で基準点以上の得点を取った受験者に対し、科目合格を与える制度。科目合格により翌年の試験に向けて、不合格だった科目の学習に集中できます。
社労士試験には科目合格がないため、1科目でも基準点を下回れば不合格。1から再受験しなければいけません。一発勝負なことが難易度を上げています。
でも、受験した経験は貴重です。翌年の本試験で必ず役立ちますよ。
やる気を保つコツはこちら >> モチベーションを維持する方法7選
社労士の難易度と合格ラインを理解して一発合格を目指そう
「難しすぎ」といわれる社労士の合格率は6〜7%。他士業と難易度を比べたときのランキングは以下のとおりです。
順位 | 資格名 | 難易度 | 合格率 | 合格までの学習時間の目安 |
1 | 弁護士(予備試験) | (5.0 / 5.0) | 3% | 6,000時間 |
2 | 司法書士 | (4.0 / 5.0) | 4〜5% | 3,000時間 |
2 | 税理士 | (4.0 / 5.0) | 15〜20% | 3,000時間 |
4 | 中小企業診断士 | (3.0 / 5.0) | 4〜5% | 1,000〜1,500時間 |
5 | 社会保険労務士 | (3.0 / 5.0) | 6〜7% | 800〜1,000時間 |
6 | 行政書士 | (3.0 / 5.0) | 10〜13% | 600〜800時間 |
7 | 宅地建物取引士 | (2.0 / 5.0) | 15〜17% | 300〜500時間 |
資格を取得するには、17の合格基準をすべてクリアする必要があります。
合格基準 | 基準数 |
選択式の総得点 | 1つ |
選択式の各8科目の得点 | 8つ |
択一式の総得点 | 1つ |
択一式の各7科目の得点 | 7つ |
合計 | 17基準 |
社労士試験に挑戦できるのは1年に一度だけです。しかも、一発合格できる確率は2%以下。仕事をしながらでも無理ではないですが、簡単な試験ではありません。
時間をかけずに合格するコツは、独学ではなく資格予備校の講座を受講することです。現実的な目標と戦略を立てるようにしてください。
社労士試験の難易度と合格ラインを理解して、受かる確率が上がる選択をしましょう。
合格する可能性が確実に上がる!