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- 失業保険と雇用保険の違いは?
- 雇用保険法って、難しいの?
- 社労士試験の得点につながる覚え方が知りたい
「会社を辞めたら失業保険がもらえる」と思っている人は多いです。実は、失業保険というのは通称。正しくは雇用保険法の失業等給付を受け取れます。
社会保険労務士試験の雇用保険法は難しい科目ではないです。しかし、得点を重ねるには、20以上の給付金や手当の名称と支給要件、支給額を正確に覚える必要があります。苦手意識をもっている受験生も多いです。
この記事では、社労士試験の雇用保険法で7割以上の得点を確保するための覚え方を解説。記事を読めば、合格に大きく前進できます。
雇用保険法は、似たような名称の給付がたくさんあります。「どの給付について勉強してしているのか」がひと目でわかるように、全体図を見ながら勉強してください。
雇用保険法を学習する際は、全体図をいつも横に置いておきましょう。
支給要件
雇用保険の給付を受けるための条件のことです。
雇用保険法の全体図
合格する可能性が確実に上がる!
社労士試験|雇用保険法の目的は3つ
雇用保険法の前身「失業保険法」が施行されたのが1947年。1975年に雇用保険法に改称されて、現在に至ります。
目的は以下の3つです。
- 労働者の生活と雇用の安定を図る
- 就職を促進する
- 労働者の職業の安定を図る
上記の目的を達成するために雇用保険法には、「失業等給付」「育児休業給付」「雇用保険二事業」という3つの事業があります。
- 失業等給付
- ・労働者が失業したときの給付
・労働者が教育訓練を受けたときに費用を補てんする給付
・加齢や家族の介護などで働き続けることが難しくなったときに会社を辞めることなく働くことができるように援助する - 育児休業給付
- ・育児休業中に給与が下がったり、無給になったりした労働者が、退職せずに働き続けることができるようにするための給付
- 雇用保険二事業
- ・会社等へ助成金や奨励金などを支給する事業
雇用保険法は3つの事業で、労働者の生活の安定を支えているのです。
社労士試験の雇用保険法では、失業等給付がいちばん出題されます。
社労士試験|雇用保険法の点数配分と出題傾向
社労士試験の科目における、雇用保険法の概要を次の2つの観点から解説します。
点数配分
雇用保険法の点数配分は以下になります。
雇用保険法 | 労働保険徴収法 | 合計 | |
選択式 試験 | 5空欄 (5点) | – | 5空欄 (5点) |
択一式 試験 | 7問 (7点) | 3問 (3点) | 10問 (10点) |
択一式試験では、「雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)」という形で出題。雇用保険法と労働保険徴収法がセットになって1科目です。
社労士試験の雇用保険法の合格基準点は以下のとおり。
- 選択式:3点以上(5点満点)
- 択一式:雇用保険法と労働保険徴収法を合計した得点が4点以上(10点満点)
例年、択一式試験では問1〜問7が雇用保険法の問題になっています。
雇用保険法 | 労働保険徴収法 | |
選択式 試験 | 空欄A〜D (5つ) | – |
択一式 試験 | 問1〜問7 (7問) | 問8〜問10 (3問) |
試験の全体に占める、雇用保険法の点数の割合は次のとおりです。
割合 | 雇用保険法の点数 | 総点数 | |
選択式 試験 | 12.5% | 5点 | 40点 |
択一式 試験 | 10% | 7点 | 70点 |
総点数に占める雇用保険法の割合は、選択式で12.5%、択一式で10%です。
過去5年間の出題
社労士試験における、雇用保険法の直近5年間の出題は以下のとおりです。
「基本手当」が最重要です。「総則・通則」「育児休業給付」からも、よく出題されます。続いて「その他求職者給付」「就職促進給付」「教育訓練給付金」「不服申立て及び訴訟等」の順番です。
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
総則・通則 | 択一❶ | 選択 択一① | 択一❷ | 択一❷ 択一① | 択一❶ |
基本手当 | 選択 択一❷ 択一① | 択一❷ 択一① | 選択 択一❷ | 選択 択一❶ | 選択 択一❸ |
その他の求職者給付 | 択一❶ 択一① | 択一❶ | 択一① | 選択 | |
就職促進給付 | 択一❶ | 択一① | 択一❶ | ||
教育訓練給付 | 択一❶ | 選択 | 択一❶ | ||
雇用継続給付 | 選択 択一❶ | 択一❶ | |||
育児休業給付 | 択一① | 択一❶ | 択一❶ | 択一❶ | |
雇用保険二事業 | 択一① | 択一❶ | |||
費用の負担 | 択一① | ||||
不服申立て及び訴訟等 | 択一① | 択一❶ 択一① | 択一❶ |
- 択一:択一式試験で出題
- 選択:選択式試験で出題
- ❶〜❸:1問で出題された数
- ①:1問の一部分で出題された数
雇用保険法は「基本手当」と「総則・通則」を中心に、全範囲から満遍なく出題されています。
基本手当がわかれば、ほかの給付も理解できるようになります。
基本手当
雇用保険法の中核となる給付。「失業保険をもらっている」というときは、基本手当を受給している場合が多いです。
2023年の試験員
社労士試験は、問題作成を担当した試験委員が公表されています。2023年の雇用保険法を作問した方々(敬称略)は次の7名です。
- 石川 公彦
- 沖縄大学 経法商学部 経法商学科 教授
- 大木 栄一
- 玉川大学 経営学部 国際経営学科 教授
- 小畑 史子
- 京都大学 大学院人間 環境学研究科 教授
- 佐野 正照
- 社会保険労務士 元大阪中央労働基準監督署長
- 柴田 洋二郎
- 中央大学 法学部 教授
- 永野 仁美
- 上智大学 法学部 法律学科 教授
- 丸谷 浩介
- 九州大学 法学研究員 公法・社会法学部門 社会法学 教授
試験員7名中、6名が大学教授です。
社労士試験|雇用保険法を攻略するための覚え方
雇用保険法の覚え方を、2つに分けて解説します。
全体
雇用保険法の難易度と学習にかけるべき時間の比重度、法改正の多少は次のとおりです。
雇用保険法 | |
難易度 | (3.0 / 5.0) |
学習時間の比重度 | (4.0 / 5.0) |
法律の改正 | 多い |
社労士試験の雇用保険法の難易度は「普通」。全体像がつかめれば一気に理解が進む科目です。じっくり学習して、択一式試験で7点満点中5点以上の得点を狙いましょう。
雇用は景気に左右されるため、経済状況に伴い法改正が頻繁にあります。2022年の本試験では択一式の問1で、法改正に関する内容(特例高年齢被保険者)が問われました。
覚え方のポイントは次の5つです。
(クリックすると各項目にジャンプします。)
覚え方① 全体図を見ながら学習する
社労士試験の雇用保険法を学習するときは、全体図をそばに置くようにしましょう。
雇用保険法で知っておく必要がある給付や手当、事業は40個あります。漠然とテキストを読んだり、過去問を解いていたりすると、どこの何の勉強しているのか、わからなくなってしまいます。
雇用保険法は似たような名称の用語が多いのも特徴です。
- 就職促進給付
- 就業促進手当
- 就業促進定着手当
- 高年齢雇用継続給付
- 高年齢雇用継続基本給付金
- 高年齢再就職給付金
それぞれの給付の違いと関係性を頭の中だけで整理するは難しいです。
全体図を横に置いて、学習している箇所を常に意識するようにしましょう。例えば、「今、雇用保険法→失業等給付→就職促進給付→就業促進手当→就業促進手着手当を勉強している」などです。
テキストを読んだり、過去問を解いたりするたびに全体図を見れば、雇用保険法の各給付の名称や関係性が自然と頭に入ります。
全体図は自分で書いてもいいし、マインドマップ(MindMeister)で作ってもOKです。使用している教材に全体図があれば、コピーして使ってください。
自分で作った全体図のほうが愛着がわいて、覚えやすかったりします。
筆者の雇用保険法の全体図
全体図をエクセルで作り、クリアファイルに入れて持ち運び、暇なときに眺めていました。効果はありますので、雇用保険法が苦手な方は試してみてください。
覚え方② 法改正の対策をする
雇用保険法は法改正の対策が必要です。
法改正
法律の改正のこと。社労士試験では「法改正」と略して呼ぶことが多いです。
以下は、2022年の本試験で出題された法改正に関する問題です。↓
まるまる1問で、直近の法改正論点である「特例高年齢被保険者」について、問われています。ちゃんと対策していれば、1点を確保できた問題です。
雇用は経済や社会の変化と密接に関わっています。雇用保険法は変化に合わせて、改良され続けているのです。
社労士試験では、法改正があった箇所は出題される可能性がグッと高くなります。法改正の対策は必ず講じるようにしましょう。
法改正の対策は、専用の教材を活用するのが一般的です。
詳しくはこちら >> 法改正を得点源にする方法
覚え方③ 語呂合わせで覚える
社労士試験の雇用保険法には、数字や紛らわしい用語がたくさん出てきます。なかなか記憶できない論点は、語呂合わせ(ゴロ)を活用すると簡単に覚えることができます。
雇用保険法の有名なゴロは、「コチコゼンクン」。基本手当を受けている人が、2以上の延長給付の対象となったときの優先順位を頭文字で表現したゴロです。
- 個別延長給付(コ)、地域延長給付(チ)
- 広域延長給付(コ)
- 全国延長給付(ゼン)
- 訓練延長給付(クン)
「コチコゼンクン」と唱えるだけで、基本手当の延長給付の優先順位をすぐに思い出せます。
語呂合わせ専門の社労士試験の教材が市販されていますが、自作するのもおすすめです。教材に最適なゴロがないときは、どんどん自作しましょう。以下は私が作った雇用保険法に関するゴロです。
- 雇用の待機はTセブン
- 基本手当の待機期間は、通算7日
- 就業手当さん
- 就業手当の額は、基本手当日額に3/10を乗じて得た額
ゴロは響きとインパクトが重要。変な内容のほうが、印象に残って覚えやすかったりします。
苦手な箇所はゴロを積極的に使って、ラクに覚えましょう。
覚え方④ 所定給付日数は眺めて暗記する
基本手当の所定給付日数は必ず暗記してください。
所定給付日数
基本手当を受けることができる日数のこと。基本手当の額は以下の算式で求めます。
基本手当=基本手当日額×所定給付日数
所定給付日数は、2022年の社労士試験では、問題文に所定給付日数の表が載っていました。↓
2022年に限っていえば、所定給付日数を覚えていなくても、よかったわけです。
しかし、もともとは重要論点。記憶しておかないと、選択式で問われたときに致命傷を負ってしまいます。
所定給付日数の覚え方は簡単です。
- 手書き、またはエクセルで所定給付日数の表を紙に書き写す
- その紙を1日1回、眺める
1年未満 | 1年以上 5年未満 | 5年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳以上 35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上 45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上 60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上 65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
毎日、紙を眺めるだけで、1ヶ月もかからないうちに所定給付日数を覚えることができます。写真を撮るような感じで、右脳が表ごと記憶してくれるのです。
社労士試験の直前期(8月)は超多忙です。暗記・復習しなければならない数字がたくさんあります。
図や表を見るだけで頭に残る数字は、普段から眺めて覚えるようにしましょう。
図や表は、右脳がイメージ情報として記憶します。
筆者が眺めていた所定給付日数
クリアファイルに入れて持ち運び、暇なときに眺めていました。毎日20〜30秒、眺めるだけで覚えることができるので、ぜひやってみてください。
覚え方はこちら >> すぐに実践できる暗記方法10選
覚え方⑤ 基本手当をベースに知識をプラスする
雇用保険法には20以上の給付金や手当がありますが、給付の中心は基本手当です。基本手当が「その他の給付」のベースとなっていることが多いため、まずは基本手当を完璧に覚えましょう。
以下は失業等給付の支給額です。(一部の給付だけを抜粋)
支給額 | |
基本手当日額 | 60歳未満:賃金日額×50/100〜80/100 60歳以上65歳未満:賃金日額×45/100〜80/100 |
傷病手当 | 基本手当日額相当額 |
高年齢求職者給付金 | 基本手当日額×30日または50日分 |
特例一時金 | 基本手当日額×30日分(当分の間は40日分) |
就業手当 | 基本手当日額×30% |
再就職手当 | 基本手当日額×支給残日数×60%または70% |
常用就職支度手当 | 基本手当日額×90×4/10(原則) |
傷病手当や高年齢求職者給付金の支給額は、基本手当の日額がベースになっていることがわかります。基本手当という幹を作ったあとに、枝葉として「その他の給付」の知識を足していくと効率的に記憶することができます。
雇用保険法の全体像を意識しながら、基本手当と「その他の給付」の共通点や相違点を押さえていきましょう。
基本手当との共通点や相違点は、横断整理の教材にまとめられていることが多いです。
項目ごと
社労士試験に出題される、雇用保険法の項目ごとの覚え方のポイントは以下になります。
- 総則・通則
- 雇用保険法の目的、適用事業などの全体像がまとめられている。第1条の目的条文、被保険者の定義と種類、被保険者に関する届出の期日は頻出。正確に覚える。
- 基本手当
- 必ず出題される最重要テーマ。受給資格、失業の認定、待機期間、基本手当の日額、所定給付日数、受給期間、給付制限を理解して、得点源にする。
- その他の求職者給付
- 基本手当以外の求職者給付。基本手当と比較、または関連付けながら覚える。日雇労働求職者給付金は基本手当と異なる点が多いため要注意。
- 就職促進給付
- 失業している人の再就職を促進するための給付。就業促進手当の4つの給付「就業手当」「再就職手当」「就業促進定着手当」「常用就職支度手当」の相違点が問われる。正確に記憶する。
- 教育訓練給付
- 自己啓発のために資格スクールに通った場合などの受講費用を補助する給付。費用の2〜7割が支給される。支給要件、支給要件期間、支給額、支給申請手続、教育訓練支援給付金の支給要件を覚える。
- 雇用継続給付
- 加齢や介護が原因で雇用の継続が危うくなったときに、離職せずに雇用を継続してもらうために支給するもの。高年齢雇用継続給付の「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の違い、介護休業給付金の支給要件を覚える。
- 育児休業給付
- 育児休業中の生活を支援するための給付。最長で子供が2歳になるまで、収入の67%または50%を支給。育児休業給付金の支給要件や支給額、支給申請手続を押さえる。
- 雇用保険二事業
- 会社等へ助成金や奨励金などを支給する事業。
雇用安定事業と能力開発事業、就職支援法事業の違いを理解する。
雇用安定事業はその目的と、雇用調整助成金・65歳超雇用推進助成金の支給について押さえる。 - 費用の負担
- 失業等給付に係る国庫負担の割合を覚える。
- 不服申立て及び罰則
- 不服申立てをするときの手順を理解する。
雇用保険法は全体像をつかんで、給付を一つずつ理解していけば必ずマスターできます。
学習の基本はこちら >> 最短合格できる勉強方法
試験当日の対策はこちら >> 本番で失敗しない心構えとテクニック
雇用保険法の覚え方をつかんで社労士試験で7割以上得点しよう
社労士試験の雇用保険法は難解な科目ではありません。効果的な学習を重ねれば択一式試験で7点満点中5点以上、得点することは十分可能です。
覚え方のポイントは次の5つです。
- 全体図を見ながら学習する
- 法改正の対策をする
- 語呂合わせで覚える
- 所定給付日数は眺めて暗記する
- 基本手当をベースに知識をプラスする
雇用保険法は全体像をつかめれば、理解が一気に深まります。苦手意識をもたずに、暇さえあれば全体図を眺めるようにしてください。
雇用保険法で7割以上得点でれきば、社労士試験の合格に大きく近づきます。
聴くだけで基礎を身につける方法
文字を読まなくても、音声を聴くだけで雇用保険法の基礎が自然に身につく方法があります。
「歩きながら」「歯を磨きながら」「お風呂に入りながら」聴くだけで、雇用保険法の全体像がスッと頭に入ります。
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